リンク集

【おさんぽの会】
明日香医院(東京都)

吉村医院(愛知県)

三輪レディースクリニック(愛知県)

━━━━━━━━━━━━━

SMC 式乳房マッサージ

日本マタニティヨーガ協会

愛媛大学産婦人科学教室

子宮頸がんワクチン

▼St Jones & Elizabeth Hospital
http://www.nipponclub.co.uk/html/02.html#kita
http://www.hje.org.uk/

Active Birth Centre

ほほえみクラブ

前回は鉗子分娩、今回は安産でした

O.K.

師長: 最終的には赤ちゃんが良いところまで下がってきてくれた段階で、赤ちゃんの心音が少し下がるという事があったので、鉗子分娩になりました。

Oさん: 痛かったけど、それをしなかったら帝王切開だったから良かったです。

師長: すぐそこまで下がってきて、赤ちゃんを出す処置としては、あと吸引分娩とかもあるのですが、吸引分娩は赤ちゃんの頭の皮の所を引っ張るので、あまり赤ちゃんの位置の高いところで引っ張ると赤ちゃんの方もしんどいし、それでは出ない時があります。愛媛県で鉗子分娩が出来るお医者さんは少ないですが、吸引分娩で出なければ鉗子分娩しかありません。すると鉗子分娩が出来なければ、そこまで下がっていても急遽、帝王切開にならざるをえません。
1回、帝王切開すると2回も3回も帝王切開する事が多くなる事を考えると大きな差になります。
今日のスライドにもありましたが、それだけ帝王切開にまつわるリスクというのがありますので、出来るだけ1人目のお産をを大事にして頂いて、下から産めるように妊娠中から努力して頂きたいと思います。
Oさん、2人目を妊娠されて1人目が鉗子分娩だったから、そのあたりの心配とか不安とかありましたか?

Oさん: やはり、ありました。でも心配しても仕方ないと思って、必ず動いていました。ただ上の子供がいるのでヨーガとか具体的な事は出来なくて、ひたすら散歩をしたり、外出をなるべく多くしたりしていました。

師長: やはり意識して動くようにはなっていたんですよね。
1人目それだけしんどい思いをされていたけれど、今回はすごく安産でしたね。1人目の赤ちゃんの体重が3,170gでしたが今回は少し大きめで3,790g、前回よりはかなり大きさはあったけれど、お産の経過時間からすると本当に痛くなってからは3時間くらいで安産でした。
やはり初めに下から産んでいると、1人目がもし鉗子分娩でなくて帝王切開だと今回こういう安産は経験出来なかった中で今回も帝王切開と言う事になりますからね。
当院では36週くらいに分娩のアンケートをお渡ししていて分娩の要望書、自分はこういう事をしたいとか、して欲しいとかを書いて頂いています。Oさんも今回はソフロロジィーのテープを聴きたいとかまた是非お風呂に入りたいとか色々書かれていたと思うのですが、まず今回は破水していなかったからお風呂に入れましたよね。どうでしたか?

Oさん: すごく痛みが和らいで、体があったまるので、すごく気持ち良かったです。痛みが無くなったので遠のいたのかと思ったら、ベッドに戻ったら開いてるよと言われてびっくりしました。

師長: 入院した時に夜中の0時過ぎにはわずか指1本しか入らなかったので、すぐにお風呂に入って頂いたら、3時前には6㎝まで開いていました。痛みを感じなくても体が温まる事によって進みが早くなってきますよね。それから順調良く開いていったのですけれども、Oさんは横になるのが苦手だったよね。どんな体位をとられましたか?

Oさん: うつ伏せ寝でビーズクッションにうつ伏せになったり、後は意外と正座が楽でした。正座で丸くなったりとか。

師長:   多くの時間を四つん這いになったりとか、座ったりとかの繰り返して、あとは痛みに合わせてマッサージしたり指圧したりとかするんですが、Oさんの場合はあまりそういうのはしない方が良かったんですよね。

Oさん:  力が加わるよりはただ触ってもらっているのが一番、手の温もりを感じているのが楽に感じました。

師長:   前回もそうでしたか?

Oさん:  いや前回は押してもらったりした記憶があるんですけど

師長:   そうですね、お産によっても違うし人によっても擦るのが良いとか、指圧するのが良いとか、全然触らないでという人がいますので、遠慮しないでその時に自分が感じたら、スタッフに言って頂いて、気持ち良くして頂いたらと思います。
最終的には四つん這いでお産してもらおうかと思ったんですけど、赤ちゃんが大きくて、四つん這いでは出なくて、最後には上を向いて両方のお膝を抱えるような形で、これが一番出口が広がり易い形になるんですが、そういう形でお産されました。
カンガルーケアーして頂きましたが、赤ちゃんを抱っこした時の感触はどうでしたか?

Oさん: 重くてびっくりしました、体重はきいて無かったので。前の病院でも(推定体重を)1回出してもらって、その時に大きいと言われて、もう怖いからきかなくて良いと思ってました。

師長:  へその緒も自分で切られたんですよね。当院ではご主人が立会いされれば、ご主人にへその緒を切って頂くんですけれど、安産すぎて間に合わなくて、ご本人さんに切って頂きました。その時はどなたが切って頂いても当院はかまいませんので、希望があればどしどし言って下さい。
では最後にこれからお産する方にこういう事をしたら安産に結びつくのではないかとか、こういう事がお産の時に役に立つとか、痛みの時はこれが痛みを逃すとかあったらお願いします。

Oさん: 妊娠中はやはりよく動いて、1人目の出産後に感じた事は、やはりいかに赤ちゃんの頭が下がっているかが大事なのかなと思いました。もし運動もしていなくてもっと高い位置だったら帝王切開になっていたかもしれないし、2人目は早い段階から下がっていたので安産になったと思うし、あとは出産の時は体力がすごくいるのでそういう意味でもよく動いていた方が良いと思います。
マタニティー・ヨーガとか母親学級とか体験入院とかをフル活用して予備知識を入れたりとか、スタッフの人とより信頼関係を築いた方が出産の時に気持ちが楽かなと思います。

師長: そうですね。人が痛みを感じる要素としては知らないところで知らない人に知らない事をされるのが一番恐怖、緊張に繋がるそうです。
今、Oさんが言われたように色んな機会にスタッフと通じてお話するようにしておけば、まず顔見知りになりますよね、それだけでも話やすくなりますよね。それと母親学級、セミナーとか参加して頂いて、まずわからない事を探して頂く、不安な事を少しでも多く解消して頂くのも大切かと思います。機会があればまた参加して下さいね。

フリースタイル分娩なのでここを選びました

S.Y.

師長: まず、自己紹介と当院で出産しようと思ったきっかけ、理由からお話して頂けますか?

Sさん: フリースタイルでお産がしたいと思ってこの病院を選びました。

師長: どうしてフリースタイルでお産がしたいと思ったのですか?

Sさん: 今考えたら「どうしてかなぁ」と思うんですが、なんか分娩台で産むのは、いきみたいのにいきめないというか、いきみにくい。何かおかしい、というのを知ってから、分娩台では産みたくないと思いました。

師長: 分娩台のお産は何がおかしいんでしょうね。

Sさん: 友達にここを紹介してもらって、母親学級で話を聞いてから里帰りで出産するのをやめて、絶対ここで出産するって決めたんです。

師長: 実はこれから大洲に帰られるんですよね。Sさんは母親学級だけでなく、アクティブ・バースのミニセミナーにもご主人と毎回参加して頂いて、色々話を聞いて頂きました。先生からも毎回色々と安産指導があったかと思いますが、それを聞いて、お産のためにこんな事に気をつけたとか、心がけてした事、またこれをしたらもっと良かった事とかありますか?

Sさん: 先生から「よく動きなさい、散歩しなさい」と言われていたんですが、一度流産した事があったので、心配で動かない方がいいのではないかと思った事があったのですが、実際先生の言われる通りに散歩は1日1~2時間して、スクワットしたおかげで、その週数に応じて赤ちゃんが下がっていると言われてすごく嬉しかったです。
それまでは児頭がすごく高かったし、子宮の出口が硬いと言われていて、それがすごく心配でした。でもやった成果がすぐに出て嬉しかった。

師長: ちなみに里帰りするはずだった病院はどのような方針でお産をしているところか調べたんですか?

Sさん: 妹が出産した病院なんですが、妹は微弱陣痛で羊水が濁ってしまって帝王切開になりました。私は帝王切開するのがすごく嫌で、でも地元ではお産をする病院が1件しかなくてそれで帰るのをやめました。

師長: 妹さんは妊娠中に安産のために何か指導を受けて、どんな事をしていましたか?

Sさん: いや、何もきいてないです。よく食べていたし、産まれる直前に3時間歩きなさいって言われてたけど、あんまり歩いてなかった。

師長: 初めてだったらこのくらい動きなさいって言われないとわからないだろうし。

Sさん: 言われてもなかなかやりにくいし、相当言われないと。先生くらい言わないと、散歩で2時間といっても難しいです。

師長: 自然出産をしている先生、助産師さんはだいたい1日2~3時間は必要だと言われています。それと、当院ではスクワット。マタニティー・ヨーガも安産のためにお薦めしていますが、Sさんはヨーガの方はどうでしたか?

Sさん: 行ける時には教室に参加していました。

師長: ヨーガをしてみてお産に役にたった事はありましたか?

Sさん: 呼吸の仕方がヨーガをしているのとしていないのでは違うと思いました。陣痛がきて、ちょっとしたパニックみたいなものになるんですが、その時にヨーガをしていたお陰でふーっと長く息を吐く事が体が簡単に出来ました。

師長: 妊婦体操としてマタニティービクスもありますが、陣痛がきてからの呼吸法や姿勢などを考えると、マタニティー・ヨーガの方が、お産に直結しているように思います。
もちろんビクスもヨーガに似たゆっくりとした体操もあるようだし、体重のコントロールや気分転換には良いと思います。お産についてですが、実際は少ししんどかったですね。

Sさん: 思い出したくないです。(笑)

師長: どんな経過だったか聞いてもいいですか?

Sさん: 月曜日の朝10分毎の陣痛がきて入院しました。その時は生理痛くらいの痛みで我慢出来る痛みだったので、その日は外泊する事になっていたのです。ところが5分毎の陣痛になり痛みが強くなってきたので中止しました。そして2日3日目と過ぎ、4日目の夜中に腰が割れるような痛みになりました。あんなに痛いのかと思うくらい痛く、破水してそれから6時間くらい経った時にはもう帝王切開してくださいって言って、先生にお願いしてしまいました。

師長: 入院されたのが3月17日で、産まれたのが20日、だから4日かかったんです。微弱陣痛が3日くらい続いて疲れもあったし、寝ていないというのもあって本格的な痛みがきた時にはちょっと精神時にも肉体的にもしんどかったですね。でも痛みがき始めて3~4㎝開いてからは、比較的経過は早かったんです。でも本人さんは「もう何時間したら切って!!」と言っていたんですが、経過は順調だったのでご主人に励まして頂きながら、なだめながら出産になりました。結果的には鉗子分娩になりました。というのはちょっと赤ちゃんが大きかったようで、また少し出口も硬かったようで、それで微弱陣痛だったのだと思います。
みなさん、幅の広い硬いゴムがありますよね。あれを一気に伸ばそうと思ってもなかなか伸びません。でも弱い力で少しずつ伸ばし、柔らかくなってから強い力で引っ張れば簡単に伸びます。それと同じです。産道や出口がまだ硬いのに強い陣痛が来ると、お母さんも赤ちゃんもしんどくなります。それで状態に応じて微弱陣痛が続くのです。それを陣痛が弱いからといって陣痛促進をするとお母さんの負担が更に強くなるし、赤ちゃんへのストレスも高まります。微弱陣痛は微弱陣痛の意味がある、という事を理解して頂きたいと思います。
Sさんも陣痛が弱いからと言って、あの時に促進剤を使ったらきっと本人さんは耐えられなかったと思います。

Sさん: もう無理です。

師長: 硬いから伸びないのにそれを強い力で引き延ばすと、伸びなかったら切れますよね、それが子宮破裂です。先生の言う自然のリズムに合わせるというのは、そのようなお母さんのリズムと赤ちゃんの産まれようとするリズムを尊重して、陣痛か弱い時はマッサージをするとか、腰を温める、入浴するなど、色々リズムに乗れるよう考えて援助していきます。それが自然出産です。そして一番大切なのはいかにリラックスするかです。
4日間大変でしたが、その中でこれをしたら気持ちが良かったとか、これが陣痛を和らげてくれたとか、頑張ろう、という気持ちになれたとかありますか?

Sさん: 2日目過ぎてからがつらかったんですが、お風呂に入ったら痛みも和らぐし、眠れるんです。5分毎に陣痛はきているんだけど、その間にウトウトって出来る、その睡眠があったから頑張れた。アロマのオイルマッサージも、ものすごくリラックス出来ました。強い痛みがきてからは誰かが常に側にいてくれて、痛みを逃してもらえて、1分でも2分でもいなくなるとすごく不安で痛くてパニックになりそうでした。

師長: やはり家族の方にいて頂くのはもちろんですが、でも家族の方もなれていないと本人さんだけでなく、家族の方もパニックになって精神的に不安感が増してきます。
そこで、当院では痛みが強くなると、極力スタッフが1人は付きそうようにしています。そしてスタッフと相談しながら、体の向きを変えたり、痛みを少しでも逃せるようマッサージしたりしながら一緒に陣痛を乗り越えたいと思います。
最後にこれからお産する人に、アドバイスをお願いします。

Sさん: 先生に何回もセックスするように言われていたんですが、主人も、私も怖くてしていなかったんです。散歩もスクワットも先生の言われたようにしていたんですが、これだけです、出来なかったのは。
だから、怖がらずした方がいいと思います。

師長: お産の時、ご主人が謝ってましたね。初産婦さんはどうしても膣の伸びが悪い人もいます。セックスすると、その伸びが良くなりますので、先生からだめと言われない限りは普通にセックスして下さい。
ご主人がずっと付き添ってくれていましたが、お産の後何か言われましたか?

Sさん: 謝っていたのと、しんどいところをずっと見ていたので子供に対して愛情がすごい。すごく可愛がってくれています。やっぱり、ずっと側にいて、つらいところも見て一緒にお産が出来て良かったです。

師長: 赤ちゃんが産まれて、お母さんもお父さんもまず心の底から赤ちゃんが可愛いと思うのが育児のスタートだと思うので、時間の許す限りご主人や家族に見守って頂き、一緒に命の誕生を迎えたいと思います

1人目が鉗子分娩でした

T.R.

師長: Tさんは当院で2人出産されました。2人目のお産から少し時間は経っていますが、記憶を呼び戻しながらお話して頂きたいと思います。まず、1人目のお産からですが、当院で出産しようと思ったきっかけがあればお願いします。

Tさん:  私の姉がここで出産して、その時ヨーガに通っていたのですが、私もヨーガをやってみたいと思ってここに決めました。

師長: 妊娠中にヨーガをやってみたいというのがあったんですね。

Tさん: ありました。

師長: どうしてヨーガをしてみたいと思ったんですか?

Tさん:  姉が通っていたし、本とかにも載っていたので。

師長: ちなみにお姉さんはどんなお産でしたか?

Tさん:  1人目が鉗子分娩、2人目は普通でした。

師長: お姉さんは1人目鉗子分娩になって、何か感想言われていましたか?

Tさん: しんどかったとは言っていましたが、具体的にはきいていません。

師長: そうですか。では、Tさんのお話になりますが、私の記憶では1人目の時、妊娠の初期からマタニティー・ヨーガの教室に毎回と言っていい程来られていていたと思います。当院では、先生が、個別に妊娠初期から安産指導をしていて、特に1人目は厳しく指導しています。Tさんも多分最初からマタニティー・ヨーガも含めて安産指導があったと思いますが、具体的に何と言われたか覚えてますか?

Tさん: 動きなさい、散歩しなさいと言われました。

師長: 具体的にどんな事をしましたか?

Tさん: 1日2時間くらい散歩して、夜寝る前にヨーガを1時間くらいしていました。

師長: ヨーガというのは、教室で覚えてですか?

Tさん: そうです。教室でしていたのを、最初から最後まで覚えて1時間していました。

師長: すごいですね。

Tさん: もう何回もしました。

師長: ちょっと変な質問ですが、それは何のためにやってましたか?
どうして、散歩やヨーガをしようと思ったのですか?

Tさん: する事でお産が違うのかなって思ったし、体力も付いた方がいいかなって思ってしました。

師長: ちょっと1人目の時のカルテを見直していたんですが、先生が所々外来の健診時に厳しいですよ、とか、帝王切開率50%とか書いてあるんですが、覚えてますか?

Tさん: はい、結構厳しかったです。

師長: 先生が20週、6ヶ月の頃には帝王切開率70%って書いてあるので、かなり厳しく安産指導されたのでしょうね。それでTさんも頑張ったんでしょうね。

Tさん: はい。帝王切開は恐いし、絶対したくないと思いました。

師長: それで、一生懸命頑張ったためか30週頃、一度切迫早産という事で入院もされたようですが、一生懸命動いて、そういうふうにおなかが張ったら一時お休みしてというようなかたちで、先生も安産に向けて状態を見ながらコントロールをしていたようです。
実際、陣痛が始まったのは38週と5日、予定日までに陣痛がきてくれたので良かったのではないかと思います。
5時過ぎに入院されて産まれたのが8時54分、初産婦さんで、わずか4時間足らずでお産になりました。だから経過としては早かったんですね。それもTさんが先生の言われた通りに動いた結果だろうと思います。
経過が早かったのでよくわらなかったかもしれませんが、陣痛の時、これをしたら楽になったとか、これをしてもらったら良かったとかいう事はありましたか?

Tさん: 腰を押してもらったら楽でした。そしてベッドにつけてもらった綱を持ってグッていきめたのが良かったです。

師長: 分娩台ではなくて、自分の好きなように動けたというのが良かったのですね。

Tさん: はい。

師長: お姉さんが鉗子分娩だったと言われてましたが、実はTさんも鉗子分娩になりました。みなさん、鉗子分娩ってきいた事ありますか?みなさんあまりきいた事が無いようですね。
吸引分娩は赤ちゃんの頭の先にカップをつけて引圧で引っ張りますが、鉗子分娩は赤ちゃんの頭の側頭を器械で挟んで先生が引っ張ります。県内で鉗子分娩が出来るのは松山でおひとり、それと先生だけです。吸引分娩で困難な時は即帝王切開ではなく、もうひとつ手段があると思ってください。

Tさんの場合は9cmくらいまでスムーズにお産が進んだのですが、その頃になると急に赤ちゃんの心音が陣痛の時に下がり始めました。赤ちゃんも狭い産道で圧迫されるので苦しくなる場合があり、その程度によっては早く出してあげないといけない場合があります。それで急遽鉗子分娩をしました。鉗子分娩でスムーズに産む事が出来た1つの理由としてはご本人が妊娠中、一生懸命体操して骨盤の出口を緩めておいた結果だと思います。
以前、妊娠中の先生の指導にも関わらず何もしなかった方がお産になり、赤ちゃんの頭が見えているのに吸引も鉗子もだめで帝王切開になった方が2人います。この方は2人目の妊娠の時は一生懸命スクワットをして、むしろ安産で産む事が出来ました。骨盤底を広げるという事はとても大切です。
Tさんもそのような事をしていなかったら、先生が妊娠中に帝王切開率を書かれていた程なので厳しかったかもしれませんね。

Tさん: はい、帝王切開になっていたと思います。動いていて良かった。

師長: 今回、妊娠した時、また鉗子分娩などのイメージが湧いてきましたか?

Tさん: はい、あるかな……とは思いました。

師長: 1人目鉗子分娩になると、2人目もしんどいお産になるかなって妊娠した時点で不安に思う方もいらっしゃると思いますが、Tさんの場合は、どうでしたか?

Tさん: そうですね、不安はあったと思いますが、先生の言われた事はしようと思って、動いていました。でも、散歩とかは1人目みたいには出来なくて、マタニティー・ヨーガには参加出来る時には行くようにしていました。

師長: カルテを見ての想像ですが、今回の方がしんどかった?

Tさん: しんどかった。時間がかかったし、痛みが強かった気がしました。

師長: 1人目のお産では入院時赤ちゃんの頭がSt-3まで下がっていました。数字だけ覚えておいてください。でも今回は-5。2cm赤ちゃんの頭が高かったようです。そのため、お産の時間がかかってしまったんでしょうね。先ほど、前回ほど散歩も出来なかったという事で、分娩開始のスタートの状態が違っていたのかもしれないですね。
先生は日頃から1人目のお産を大事にしなさい、と言われています。1人目をもし帝王切開してしまったら、2人目も3人目もまず帝王切開になってしまいます。1人目をちゃんとお産していたら、次は多少時間がかかっても下から産めると思います。今日は初産婦の方が多くいらっしゃいますが、しっかり安産体操をして頂きたいと思います。
今回は前回に比べて少し時間がかかった分、色々な事をして頂いたり、さまざまな体位を取って頂いたりしたと思いますが、どれが楽とか、しんどいとかありましたか?陣痛にあわせてバランスボールにも乗ったりしましたよね。

Tさん: バランスボールは、陣痛が弱い時一生懸命しました。お産が早く進んで欲しかったから……。あと、馬のようなイスにも座ってマッサージしてもらいました。

師長: そうですね。馬のようなイスに前にもたれるようにして、腰のツボを押したり、マッサージしたりすると痛みが紛れて楽に感じる方も多いようです。
前回は横向きで綱を持つのが楽だったそうですが、今回も四つん這いになったり、横向きで綱を持ったりしてお部屋の方で自然分娩になりました。いきみが出てきた時、こんな格好が力が入りやすいとかわかりましたか?

Tさん: 四つん這いは無理でした。今回を最後に上向きになったけど、何か、足の支えになるのがあった方が良くて、看護師さんが支えてくれていました。

師長: 最近、直前に上を向いてお産する方が多くなった気がするんですが、分娩台も上を向きます。でも、分娩台はまず脚が固定されます。そして決まったスペースで持つところも決まってます。でもフリースタイルの上向きというのはそうではなくて、脚も具合の良いところに置けるし、脚の支えが必要な時はスタッフの肩とかで脚を支えて、スタッフの方でもいい具合を見つけて踏ん張って頂いたりしています。脚の開き方も、分娩台はここまで開きなさいというのがありますが、フリースタイルは自分の良いように調節出来ます。ここが分娩台の上向きとフリースタイルの上向きの違いです。横向きでも片足を上げる時がありますが、その時も自分のいい角度に上げてそれをスタッフが介助すると思ってください。
Tさんは1人目が鉗子分娩だったので分娩室のマットの上でお産になったと思いますが、2人目のお産はあらかじめこんな格好でお産しようとかは考えていましたか?

Tさん: 四つん這いかなって思っていたけど、実際は違っていました。

師長: よくフリースタイルの質問の中でどんな格好がいいかわからないという方がいますが、そんな事は考える必要はないです。
それはその時にならないとわからないので、その時に動きたいように動いたらいいし、それにあわせてスタッフが介助していきます。
そして、なるべく気持ちが良いと思う事をして貰ってください。
反対にこれはしたくないとかしんどいとか思えば遠慮なく言って下さい。
ところで、鉗子分娩になると、傷も多少深くなったりして、お産に対して恐怖感を抱く方もいますが、Tさんは2人目の妊娠に関して、そういった感情はありましたか?

Tさん: いや……、1人目の方が楽というか、産んだ後も身体はしんどくなかったです。

師長: それはどうしてでしょう?

Tさん: 姉はしんどそうにしてましたが、私は大丈夫でした。ヨーガも早くからしていたし、散歩も頑張ってしていたので、体力があったんだと思います。

師長: でも考えたら、妊娠初期から先生の厳しい安産指導があって頑張っても鉗子分娩になったという事は、妊娠中の安産指導が無くて何もせず、分娩台でのお産だったらきっと帝王切開になっていたかなって個人的には思うんですが。

Tさん: 私もそう思います。

師長: 初めが帝王切開だったら今回も帝王切開だと思うので、2回おなかを切っていた事になりますね。それが、先生がよく言われていますが、1人目のお産を大事にしなさい、という事なんです。自分の希望するお産はどういったものか、そのためにはどうしたらいいのか、どういった指導、援助がなされるのか、そういった事を色々な人に聞いたり、調べたりしてまず情報を集め、それから自分の考えに沿って病院選びをして頂きたいと思います。
一生の内でお産の経験は数回だと思いますので、心に残るような、そして良い育児のスタートが切れるようにこちらも出来る限りのケアはさせて頂きたいと思いますので、みなさんも不安な事、気になる事、または希望があれば遠慮なくスタッフの申し出てください。
最後にみなさんにアドバイスがあればお願いします。

Tさん: 先生が安産指導してくれるので、それを目標に頑張ったらいいと思います。私は、散歩は3時間と言われていましたが、2時間くらいしか出来ませんでした。でもお産も早かったし、終わってからも体力があったので楽でした。ヨーガも友達とか出来て、同じような環境の人が周りにいるので、色んな話をきけたりしてためになりました。

師長: そうですね。ヨーガの教室では横の繋がりが出来て色々な情報交換が出来て、お互い励ましあったり、悩みを共感しあったりして良いようですので、みなさんも色々な行事に参加してみて下さいね。

前回は安産指導がなく帝王切開になった

K.M.

師長: 当院では、母親学級などで実際お産された方の体験談をきいて頂いています。今回は2人目ですが当院では初めての出産でした。まず、前回の妊娠・出産からお話して頂けますか。

Kさん: 私はもともと愛知県の出身で、1人目は現在2歳になりますが、妊娠した時は、主人の転勤で尾道にいまして、その時は里帰り出産をしようと考えていて33週まで尾道にいました。その時は、あまり産む事に関しては、自分で産むという意識が無くて、疑問も感じていませんでした。それで、散歩するといっても週に1~2回20分くらいする程度、特に運動もせず、体重も増えすぎて、里帰りしたんですが、愛知の病院で、初めて赤ちゃんが全然下がっていないと言われて、それから慌てて雑巾がけや散歩を1時間くらいしました。
それでも、1週間経っても、2週間経っても下がらず、予定日の1日遅れで陣痛がきて入院したのですが、やっぱり下がってこない。そうしている間に赤ちゃんの心音が下がってしまい、どうしよう……という事で、促進剤を使って、陣痛を強めようという事になりました。でも結局帝王切開になりました。その時は陣痛も耐えられなくて、子供もそっちの方が安全だからと言われて切ってしまいました。でも切ってしまって、後で後悔しました。

院長: 陣痛促進剤はどのくらいしたんですか?

Kさん: 夕方の5時くらいに始めて、それから5時間後に帝王切開しようという事になりました。その後が本当につらかったです。
切った後が動けないので、苦しかった記憶がすごいんです。 赤ちゃんを抱っこも出来ないし、今思えば、日浅先生の言うような運動をしていなかったのもいけないし、産む事に関してなんにも思っていなかったのがいけなかった……。

院長: いけなかった、というよりその指導があったんですか?

Kさん: 尾道では、全く無かったです。中期に入ってからは内診も無かったです。中期に不正出血がしばらく続いたんですが、その時に診察する程度で、「異常は無い、異常は無い」と言われました。

師長: これはKさんだけではなくて、初めてお産される方は、安産指導があるとか無いとか、まずわからない。多くの人は、妊娠したら、自然に陣痛がきて、自然に赤ちゃんが産まれて、おっぱいも普通に出て、赤ちゃんは何の迷いもなく吸ってくれる、それが当たり前だと思っています。
でも、そうじゃない人もいます。人それぞれ体型も違うし、体質も違います。赤ちゃんの大きさも違うし、赤ちゃんにも産まれながらの個性もあります。だから健診で定期的にチェックしている先生や助産師さんに、貴女は安産のために何が必要かという事、その人にあった安産指導が無いと、初めての方の中には大変な思いをする方も実際いらっしゃいます。

院長: 安産指導をする事は当たり前です。でも、ほとんどの産科医は安産指導をしません。そこが大いに問題ですし、産婦さんもそれを希望しないところも不思議です。

Kさん: 普通に産まれる、と勝手に思い込んでいたんです。

師長: でも先生が「順調です」と言ったら、普通に産めると思いますよね。

Kさん: 思っていましたし、安心していました。

師長: 36週、10ヶ月に入って赤ちゃんが高いですよ、と言われて自分なりに努力されたようですが、病院からは具体的にどのような指導があったんですか?

Kさん: 「運動してください」のひと言です。

院長: 尾道では赤ちゃんの頭が高いとは言われませんでしたか。

Kさん: 具体的な事は無かったです。

師長: それは安産指導が無かったという事です。今回当院を選ばれた理由は?

Kさん:  転勤で今治に来て、1年くらいしか経ってなかったので、周りにきいてもよくわからなくて、インターネットのホームページを見て、体験談の中に1人目帝王切開の人の話があって、2人目は下から産まれたというのを見て、こういう体験をされている人もいるというので、どうしようと迷いました。周りは「1人目切っているから、今回も切った方がいいんじゃないか」と言われて、1ヶ月くらい悩んだんですが、そうしている間に出血したんです。それで、ここに来ました。

師長: 1人目帝王切開だと、次も帝王切開という施設が確かに多いですが、試みてくれる施設もあります。当院でも15%の方が下から産んでいます。それには、1人目どんなお産をしているか、にも影響されます。Kさんは前回8㎝開いたという事、そして何よりご本人が下から産みたい、頑張ってみようという事で、先生の安産指導に沿って、動いたんですよね。

Kさん: はい、今回は頑張りました。

師長: 具体的にはどんな日常生活をしましたか?

Kさん: 上の子供がいるので、100%自分の時間が使えるわけではなかったんですが、ベビーカーに子供を乗せて1時間買い物に行ったり、あとしゃがみ込みは早くからやったり、産まれる頃は900回していました。

師長: カルテでは9週、3ヶ月から200回しています。

Kさん:  私、やっても大丈夫だったんです。多少おなかが張っても全然大丈夫で、1ヶ月くらいして、しゃがみ込んだ時、膝が開くようになってきました。

師長: マタニティー・ヨーガにも参加して頂いていたんですが、子供さんがいるので、毎月日曜日に来られてましたよね。

Kさん: はい、月1回で5回来ました。もっと来たかったんですが、子供がいるので。

師長: やはり、1人目の経験をもとに今回は自分で産もうという意志が芽生えてきましたよね。

Kさん: 下から産むにしても、おなかを切るにしてもリスクはあると思いますが、下から産みたいし、主人と相談して決めたので。今、単身赴任してますが。

師長: ご主人が転勤で、お母さんに愛知から来て頂いていたんですよね。しゃがみ込みやヨーガ、日常生活の中での安産体操をして、今回は下から産まれました。今回は37週と少し早かったのですが、前回は40週でしたよね。38週前と40週では、赤ちゃんの大きさも違いますから、良く動いて早く陣痛が来たのも良かったんでしょうね。

Kさん: 陣痛が来る前の日に2時間歩いたんです。それからちょっと軽い陣痛が始まりました。

師長: いい刺激になったんでしょうね。
実際の経過を少し話しますと、4月16日の14時過ぎに陣痛が始まったという事で入院されました。それまでも赤ちゃんの頭がよく下がっていて、先生も50%の確率で下から産めるだろうという事でした。陣痛で入院された時、子宮口は2.5㎝開いていて赤ちゃんもよく下がっていたようです。陣痛は5~7分おきにきていましたが、開かなかったら帝王切開しないといけないという状況でした。当院では、まずリラックスして頂くために、お風呂に入って頂いていますが、陣痛の時に入ってどうでしたか?

Kさん: 楽になりました。痛みがきてもそれ程強く感じませんでした。
逆に、お風呂から出ようとすると、陣痛が強く感じてなかなかお風呂から出られませんでした。

師長: ちなみに前回は風呂に入りましたか?

Kさん:  いえ、入っていません。

師長: それは、赤ちゃんの心音が下がったから入れなかった?それとも、病院事態にそういうのがなかった?

Kさん: もともと病院になかったです。

師長: お風呂は体が温まってお産が進む場合があって、Kさんもお風呂に入って痛みが強くなってきました。
お風呂から出て、座っているのが楽という事で、しばらく風呂イスに座って天井からぶら下げてある産綱につかまっていましたが、16時過ぎには4㎝になり、痛みも強くなってきました。痛みが強くなると気分が悪くなる人がいます。Kさんも気分が悪くなって、陣痛のために気分が悪いというのもありますが、前回帝王切開の場合は体の防御作用のようなもので、気分が悪くなる場合があります。

先生に診察をして頂きながら、様子を見ていたんですが、子宮口も5~6㎝と徐々に拡がってはきていたんですが、まだ時間はかかるかも?といった感じでした。そうするうちに、前回と同様で心音が陣痛に合わせて下がり始めたんです。それで、診察の結果帝王切開に踏み切ろうという事で、本人や家族の方に説明し、帝王切開の準備を始めました。その間、当院では、フリースタイルをしていますから、酸素を投与しながら、心音もききながら、横向きでも色々と左を下にしたり、右を下にしたり座ったりして体位を変えました。すると、陣痛が一段と強くなり、赤ちゃんの心音の下がり方がちょっと少なくなりました。診察の結果下から産まれるかも?という事で、すぐストレッチャーで分娩室に行き、無事1回の吸引で赤ちゃんが産まれました。

Kさん: 私はもうパニックでした。

師長: 急に強い陣痛がきて、本人さんはつらかったと思いますが、今回と1人目の違いってなんだと思いますか?

Kさん: 自分の意識の違いだと思います。

師長: 例えば、1人目8㎝まで開いたでしょ。妊娠中にしゃがみ込みや散歩とかしていたら、今回と同じように赤ちゃんの心音が下がってもさーっと産まれたかもしれないですよね。そう考えると、やはり初めのお産が大切で、自分の意識はもちろん安産の取り組みというのもこういったぎりぎりの時に影響されます。
でも、前回の病院が何らかの処置で8㎝開大まで頑張ってくれたんですから、その点は感謝です。帝王切開の手伝いをお願いしていた井上先生もびっくりしていましたね。

Kさん:  帰られる時、奇跡だって言われました。

師長: 最後に、今日は経産婦さんもいらっしゃいますが、妊娠中にしたら良い事や、お産の時にしてもらいたい事があれば。
後、これから妊娠するかもしれない女性に、もしアドバイスを言うとしたら?

Kさん: 陣痛時に力を抜く事が必要だと思うので、マタニティー・ヨーガでの呼吸法をやると良いと思います。
私は帝王切開後に水も飲めず、下半身の感覚もなく動けずで、苦しい記憶ばかりが強く残っていましたが、今回、下から産めて自信がもてました。お産はつらかったですが、自分で産んだという達成感はかけがえのないものです。私のように後悔しないように頑張って下さい。
これから妊娠するかもしれない女性には、病室がきれい、産後の食事にフルコースが出るなどの情報が目立ちますが、それよりも、妊娠中の長い期間をどう過ごすか、どう産みたいかを考えて産院選びをして欲しいと思います。

院長: 最近の若い子の中では、帝王切開の方が楽じゃーん、という人もいますが、そんな事はないですよね。

Kさん: 絶対ないです。陣痛は苦しかったですが、帝王切開による傷の痛みは今もあり、そもそも回復度が全然違います。1ヶ月たっても帝王切開した場合はふらついたりしていました。

師長: Kさんも言われるように、まず、自分がお産をするという意識をもつ事が大切だと思います。誰かが何とかしてくれる、○○病院に行けば産ませてくれる、というものではありません。
以前他院で出産予定の方ですが、自分がかかっている病院がどんなお産をしているか、知らない方がいました。それも1人や2人ではありません。分娩台でする、という事さえも知りませんでした。
でも、先程も言ったように、初産婦さんはお産の事がわからないんです。何を医者にきいたら良いのか、妊娠中はどんな事が出来るのか、またどんな事をしたら良いのか、どんな出産方法があるのかもわからないのです。だから身近に、具体的にどんな事をしたら良いか、一緒に考え、アドバイスしてくれる人が必要になってくるんだと思います。それは、お母さんであったり、ご主人だったり、出産経験者でも良いと思います。

院長: ほとんどの病院で安産指導が行われていない現実をなんとか変えなければ、と願いながら我々は一所懸命にお産に取り組んでいます。ですから貴女のような体験者がどんどん主張していかなければ、今のお産は絶対に変わりません。

師長: これからお産する方は、自分がお産する、自分が産むという意識をもって、まず色々な情報を集め、沢山の選択肢の中から自分のお産を考え、そのためにはどうしたら良いのか、また出産だけでなく、産後の指導、例えば母乳に関してでもそうですが、そういったトータル的な事も考えながら、病院選びをして欲しいし、またみなさんには助言をして欲しいと思います。

初産は非自然出産で帝王切開、2回目は自然出産

D.M.

ポイント
前回は、妊娠中安産指導がなくて帝王切開(他院)。
児体重 2,680g。
今回は、アクティブ・バースにて分娩。児体重 3,145g。
分娩時の母体重49kg 、身長 151 cm。非常に安産タイプ。
前回、骨盤が狭いから、という医者の言葉が事の始まりであるが、それは誤りで、安産指導が無かったから帝王切開になったのがよくわかる。

師長: Dさんは、松山からの里帰り出産で、今回は自然出産で分娩出来た産後5日目の方です。まず、前回のお産について、妊娠中はこんな事をしていて、どんな形で帝王切開しなければならなかったか、という経過からお話して頂けますか。

Dさん: 前回は、妊娠中何も問題が無く、順調だと言われていました。だから、診察を受けるといつも「はい!順調です」という事でした。その時は、私は県外にいたので、里帰りで、また違う病院、近くの病院に行っていて、そこでも、「順調です」といつも言われていました。2週間くらいたって、37週でなんか赤ちゃんが大きい……私の体に対して大きい……骨盤の大きさを測って、骨盤が狭い。だから下からは無理かもしれない、帝王切開になるかもしれないからこれ以上太らないようにして、よく歩いて下さい、と急に言われたんです。
私も手術はしたくないから、頑張って急な坂とか、階段とか、毎日毎日、1日何回も歩き始めたんです。

そしたら、38週で陣痛がきて、病院に行ったのですが、陣痛も弱いし、子宮口も1cm開いているかどうかというぐらいでした。NSTという検査で、赤ちゃんの心音が元気かどうか確認している時に陣痛の波があって、その強くなった時に、赤ちゃんの心音が弱くなるのが私にもわかりました。それでも、陣痛が遠のくとまた普通にトントン動き出すので、それを30分ぐらい調べました。
その後、まだ陣痛も弱いし、車で1~2分で行ける近くの病院だったので、一旦帰って下さいと言われて、家に帰って9時間様子をみました。

朝になって、9時くらいに病院に行って、まずそのNSTを最初につけた時に、いきなり赤ちゃんの心音が、陣痛が強くなった時に止まって、その時調べた子宮口が3cmぐらい。「これは待てない。赤ちゃんが危ないから、今先生を呼んですぐ帝王切開をします」と言われました。もう、それからは、何も説明も私にはなくて、手術の準備が始まり、すぐ手術になりました。

師長: 赤ちゃんが大きいから帝王切開になるかもしれないと言われたのは、今治の病院でしたね。向こうの病院では何も言われていなかったのですか?

Dさん: 向こうの病院では、骨盤を測りませんでしたし、安産の指導もありませんでした。

師長: 37週で急に体を動かすとなると、体力的に、ちょっとしんどかったでしょう。

Dさん: はい。おなかも大きくなっていたから……。でも、とにかく手術はしたくないという一心で動いたのですが、動いて、1週間ですね。

師長: すると、動きなさいという指導は37週からという事になりまね。当院では、特に問題がない方は15~16週から安産の指導をしていますが、それから考えると、4ヶ月は遅かった事になります。でも、そのあたりの事は、なかなか妊婦さんには、わかりません。産婦人科の最高専門職の医者が指導してくれなかったのは、つらいところですね。
先日、少しおききした中で、Dさんが赤ちゃんの心音が止まったと言われた後でも、赤ちゃんはおなかの中で動いているし、普通どおり心音もきこえていたし、だからどうして帝王切開になるのかわからなかった、でも家族の方に説明があって、ドンドン準備だけが進んでいて、その中での帝王切開だったという事でしたね。
で、今回はどのような想いがあって、当院に来られたのか、その経過からお話して頂けますか。

Dさん: 私、2人目を考えている時からずっと、次は帝王切開じゃなくて、自然分娩したいなぁと思っていたので、間隔も上の子と4歳あいているんですけど、すぐには欲しくなかったのです。すぐにだと、切っているところが弱いのではないか、と不安だったんです。
それで、わざと年数をあけて、またその間、色々インターネットなどで情報を集め、一度帝王切開したものが自然分娩出来るものかどうか必死で調べました。周りの人はみんなきいた事がない、と言っていました。

そして、妊娠して、私、松山に住んでいるのですが、松山の病院でその事を言うと、うちは、そんな子宮破裂をおこすかもしれないような危険な事は絶対しません!と言われるんです。もうひとつの病院は、書いてもらう……って。500人に1人子宮破裂の可能性があるから、子宮破裂しても、文句言いません……みたいな事を書いてもらうけど、それでもいいかと言われました。どうしてもしたいのなら、大きい病院を紹介します、と言われてたんです。それで、ああ松山ではだめなんだという事がわかりました。

次に実家が今治だったので、またインターネットで調べて、日浅先生がアクティブ・バースをしている事がわかったので、そしてこちらに来ました。

師長: それらの情報集めを初産の時からしておけば良かったですね。でもそのあたりの情報公開を多くの施設がしておらず、したがって、お産にはどんな事が必要なのか、初産婦さんにはなかなかわかりにくいですね。そこに大きな問題があるのですが、それはこれからの課題でしょう。
ところで、前回は帝王切開でありましたから、今回は先生から色んな事をしなさいと言われたと思います。上の子供さんの時にはそのような指導は無かったという事でしたが、今回のような説明を受けて、どうでしたか?

Dさん: そんな難しい事はなくて、先生も全く無理だというような事は言わなくて、可能性はあるよ……と言われた瞬間からもう出来ると信じ込んでいました。
もうそれから、しゃがみ込み……上の子がいるので、何時間も散歩は出来ないので、毎日しゃがみ込んで雑巾がけをしました。それと、テレビを観ながら開脚をしていました。とにかく、時間がある時には言われた通りにやっていました。

師長: ちなみに、1日何時間とか、何回とかありますか?
Dさん: 何十回とか決めないで、ちょっと手が空いたら、しゃがみ込んで、続けて何十回とかになるとしんどくて出来ないので、その時、時間が空いたら10回しておいて、また家事をしてまた時間が空いたら10回という感じでしていました。
雑巾がけだけは義務のようにして、絶対毎日これだけはするという感じで3つの部屋をしゃがみ込んでしていました。
それは、安定期からしていました。

師長: あと、分娩という時に体重の増え具合も言われると思うのですが、どうでしたか?

Dさん: 1人目は9㎏、2人目は8㎏ぐらいでした。

師長: そうですね。2人目は7.5kgぐらいでしたね。それはやはり次は下から産みたいというのもあって、気をつけられたんですね。

Dさん: 気をつけました。絶対太らないように食事も抑えたし、おやつも食べませんでした。散歩が出来ないぶん体重が増えると思っていたので、ご飯を半分にして、野菜を食べるようにしました。体が小さいので太るとだめだと思っていたので……。

師長: 自分でも気をつけるところが多かったんですね。

Dさん: 今回はかなり努力したという気がします。前はもっと簡単に考えていて、何もしなくても普通に産めると思っていたので、体操もしなかったし……。

師長: そうですね。病院の方から何も言わなければ、順調ですと言われたら、お産も順調に出来るんだと思いますよね。でも、そのあたりの安産指導が大切なんですね。
1人目がそういう形で帝王切開になって、多分その帝王切開がつらかったから、納得いかなかったから、次に自然分娩をという気持ちになったんですか。

Dさん: そうですね、当然術後の痛みもつらかったですが、なぜ産めなかったのかという気がして、子供も出てきたら小さかったし、元気だったし、どうしてかな……、という想いがずっとあったんです。それが多分今回は……そういう気になったんだと思います。

師長: お産の経過についてお話しますと、4日の未明、1時に陣痛と破水で入院。この時子宮口は2cm開いていました。でも頭の方は結構下がっていて、ほぼ骨盤の出口近くまで下がってきている状態。だから状態としては良かったのです。
妊娠後期に入っても、赤ちゃんの頭が全く下がってなくて、高いという事であれば、先生の方も、経膣分娩は無理と判断したのですが、8ヶ月ごろから児の頭が下がっていたので、経膣分娩が可能だったのです。
入院時は4~7分毎の陣痛で少し痛みも弱かったので、破水していましたので、とりあえず感染予防のために抗生物質と、出口が柔らかくなる薬と痛み止めの薬を混ぜて点滴をしています。そのために明け方まではウトウト出来たと思いますが、どうでしたか。

Dさん: 痛くない時はウトウト出来て、痛みで目が覚める感じ。

師長: 明け方の6時頃から痛みも少し強くなったのですが、もともとDさんは、どちらかというと緊張しやすいタイプでしたので、体を温めると最もリラックスする風呂には破水のため、入る事が出来ませんでした。それで足浴と腰のアロママッサージをしました。
その頃から、感染が一番わかるのは発熱ですが、その熱が37.5度、とちょっと上がり始め、それでも抗生物質の点滴をしているので、朝8時頃には平熱に下がりました。
その頃の、足浴、オイルマッサージはどうでしたか。

Dさん: アロママッサージをしてもらうと、腰のあたりからふわっと温かくなる感じで、緊張がちょっと和らぎ、痛みが遠のき、気持ち良くなりました。

師長: 朝8時頃になると、5~3分間隔で、痛みの方も60~90秒で結構強くなり、1度1人開脚といって、陣痛に合わせて両足でぐっと骨盤底を広げる体操をしているのですけれど、それはどうでしたか。

Dさん: はい、気持ちがよく、楽でした。

師長:  どういうふうに楽でしたか。痛みが和らぐ?

Dさん: 痛みが和らぐ、あまり力が入らない。他の場合はグーと手を握り、全身に力が入るんですが、この場合はスーと吸って吐いて、自分で呼吸がうまく出来ました。

師長: 陣痛の収縮に合わせて出口が広がるから赤ちゃんが下がりやすいという利点があって、結構初産婦さんが時間が長引く時、気持が良く、具合がいいという場合が多いようです。
でも実際、これはヨーガをしていなければ、息の吐き方もわからないし、開脚をされても痛い、それに開脚をされるという恐怖心があって、やはりこれはヨーガをされている方がわかりやすいと思いますね。
それから10時には6cm開き、前回は3cmで帝王切開となっているから、3cm以上開くのは難しいかな、という思いもありましたが、徐々に開き始めて、また昼頃には、食事もとれていないし、抗生物質の投与もあったので、昼過ぎからもう1度点滴をしました。
その後、開き具合が悪くなり、7cmから3~4時間停止してしまいました。前回帝切の人は無理をすると500人に1人は子宮破裂があります。でも人間の体の防御作用があり、自然経過を見ておれば、子宮が破裂しそうになれば、分娩が停止し、陣痛が強くなりません。もちろんそのような時に陣痛を人工的に促進しないで、その時は帝王切開をします。

だけどDさんの場合、どうして待つ事が出来たかというと、普通、切迫子宮破裂というのは、弱いところが裂けるわけですから、どうしても前回切った下腹部に痛みがくるわけです。もちろんおなかは痛かったでしょうが、Dさんはおなかより腰が痛いと言われました。それで、切迫破裂はないと判断しました。
それで、それから色々な体位、アクティブチェアー、馬にまたがったような体位で腰のマッサージをしたりとか、座ったり、横になったりとか色々しました。
この頃は緊張も痛みも強かったので足が極度に冷えてきたんですが、つらくて足浴は出来なかった。それで、7cm開いているし、頭もよく下がっているので、熱も無いので破水しているけど、風呂に入ってもらいました。勿論熱が上がればお風呂どころではないですね。風呂には1時間くらい入っていましたが、風呂はどうでしたか。

Dさん: お風呂に入ると下半身が温まり、間隔もあいてウトウト出来ました。また急激に強くなるので、しんどいところもあったんですが、温まってウトウトした事でリラックス出来、子宮口が開いたのだと思います。

師長: 1時間くらいたってのぼせてきたので、風呂から出ると子宮口が8cm開いて更に児頭が下がっていました。風呂から出て進展なければ帝王切開しないといけないかなと思いつつ、半分その準備もしながら、また時々来て頂いているベテランの三宅先生の往診を依頼したところ、下からいけるだろう、という結論になりました。
それから1時間に1cmずつ徐々に進展していきました。でも本人にはつらかったと思うんですけれど、徐々に赤ちゃんも下がり、全開しました。その頃になると、腹痛も更に強くなってきたので、最後は吸引分娩になりました。

でもね、上の子供さんは2,680g、今回の子供さんは400gくらい大きく、3,145gです。だから、前回の病院で、これは骨盤が狭いからというふうに言われていたけれど、それが本当の帝王切開の理由ではなかったという事がわかります。
やはり、自然のリズムに合わせながら、体をリラックス出来るよう指導する事が重要であるのがわかります。
でもまず、産めないとは1回も思わなかった、絶対に下から産むぞ、という信念があったみたいですね。その想いが大切なのではないかと思います。
それと、帝王切開になるかも知れないという時に、帰宅させるのも私としては「?」がつきます。心音が下がっているのに、じゃあ夜中に帰らせて、もし、児心音が止まったら、どうするんだろう……。だから、本当に帝王切開の可能性があるのなら、そのまま入院してずっと経過を観察し、何かあった時はすぐ帝王切開をする、というのが、普通ではないかと思います。
もしかしたら、骨盤が狭く、下から産めないという先入観がその病院にはあったのではないか、だからもし何かあったら帝王切開を勧めようか、という考えがあったのではないかと、思ってしまうんです。院長はどう思いますか?

院長: お産が始まって、児心音に不安があるのに家に帰した、という状況は医者として理解出来ませんね。前回の帝王切開で私が一番感じるのは、なぜちゃんと分娩出来るように妊娠中から安産の指導をしなかったのか、という事です。それをちゃんと教えるのが産婦人科医療の最高専門職である産科医です。その最高専門職の医者がそういう事を教えなかったら、素人にわかるはずがない。妊娠中から安産の指導をして、なおかつ帝王切開になれば、それは仕方ありません。
それは今回のDさんの例ではっきりしています。今回のお産は前回帝王切開にもかかわらず、今回自然出産の指導をうけ、分娩出来た事は、初産の時、ちゃんと今回のように自然出産を指導されておれば、むしろ安産だったのではないか、という思いを強く抱きます。本人もきっとそう思っているでしょう。

アクティブ・バースで、帝王切開率が下がるのは、Dさんのような例があるからです。それは非自然出産と自然出産の体験者である本人が最もよくわかっているんじゃないでしょうか。それにしても、おなかを切るのと切らないとでは、天国と地獄の差があると思います。ましてや2度切る事になるとは。罪な事です。

私はDさんに再度質問したいと思います。妊娠中に安産の指導を受けましたか。前回と今回とではどう違いますか。

Dさん: 前回の病院では安産の指導を受けませんでした。里帰りですから2つの病院に行きましたが、いずれもそれはなかったです。おなかが張れば、安静に、という事でした。

院長: 安静にと言われた産婦さんがどうして帝王切開になるのでしょうか。手術をした後にトラブルが発生しなかったのは幸いだったけれど、その安静にという指導は間違っていた事になりますが、その責任はどうなるのでしょうか。

それと、入院してから風呂とかマッサージとか体操とか自然のリズムに合わせる事をしてくれましたか。前回と今回とではどう違いますか。

Dさん: その2つとも何もありませんでした。NSTをとる時も傍には誰もいませんでした。

院長: 両方無かったという事はかなりシステム的にも問題があったし、手抜きもされ、何よりも非自然出産をされた事です。それで帝王切開になったわけです。とてもつらいですね。
でも残念ですが、そのような医者は少なくありません。とにかくそのような手抜きが初産婦にはわからない。それが大きなポイントでもあります。
また、初産婦にとって大切なものは何か。1つは医学的な妊婦管理、1つは自然のリズムに合わせる安産指導、1つは母乳育児指導でしょう。これらの事を初産婦の方に自覚して頂きたい。
私はこれらの事をインターネットにも載せますし、啓蒙もしていきたい。それが私の一途なメッセージです。

師長: 前回の場合、ご主人も突然の帝王切開で赤ちゃんの命に関わると言われたら、落ち着いて話もきけないし、まず、赤ちゃんの命を助けて欲しいから、先生の言われるまま、帝王切開しますよね。それも仕方ないけれど当然の経過だと思います。
今回は、立会い分娩希望ではなかったんですけれど、やはりこれだけずっと奥さんが頑張っているのを見るとなんとなく、立会いをさせてください……という事になったんでしょう。ご主人は立ち会われて何か言われていましたか。

Dさん: 奥さんがどんな思いをして産んでいるのか、という事を眼のあたりにして、すごい事なんだなあと感じ、あとへその緒を切って感動したみたいです。

師長: 分娩中、ずっと傍にいると一緒に産んだというような感じになり、これからの育児に良い影響を及ぼしてくると思います。またチャンスがあれば、是非、一緒にお産をして頂きたいと思います。みなさん、他に聞いてみたい事はありませんか。

産婦A: 陣痛の痛みっていうのは、どんなものですか。産む時もやっぱり痛いですか?

Dさん: 今回は時間と共に徐々に徐々にすごい痛みがやってきて、でも初めからそんな強い痛みであれば多分耐えられなかったと思うけど、徐々にくる痛みだったので、耐えられたのだと思います。産む瞬間は記憶にないです。

師長: 陣痛には必ず休みの時間が1~2分はあり、そこでいかにリラックスするかが大切です。そのためには、風呂、マッサージ、足浴、お灸などがいいですね。
当院の方針として、陣痛が強くなれば絶対に1人にしません。しかし、多くの病院では1人にされる事が多くて、時々診察に来て、まだですね、もう少し、頑張って下さい、と言われ、1人で部屋や分娩室にいる事で、もっと痛みを強く感じる事になります。
不安が痛みを強くするし、それで、赤ちゃんの状態が悪くなる事もあるのではないかと思いますが、その点は安心して下さい。

Dさん: 絶対誰かがいてくれる。スタッフのみなさんツボを心得ているから大丈夫です。どこをどうしたらいいか、家族にはわからないからつらいです。指圧にしても、家族なら力が弱いが、こちらでは、強く押してくれます。

妊婦B:  1人にされるのはすごくつらいですね。私も、前のお産はよその病院だったのですが、ナースコールを鳴らしっぱなしで、ものすごく怒られました。

師長: そのうち、来てくれなくなっても困るしね(笑)。でも、家族の方がいてくださってこそのスタッフです。家族がいるからスタッフの存在意義があると思うのです。家族が立ち会って、一緒に赤ちゃんの誕生を見守るというのは、これからの育児にはとても大切なのはもちろんですが、妊婦さんにとっては、気兼ねなく、何でも言える人が必要なんだと思います。
でも、なんらかの都合があって、誰の付き添いもない場合もあります。その時は遠慮せず、何でも言ってください。その方がお産もスムーズにいきますから……。
Dさん、今日はありがとうございました。

前回の非自然出産による帝王切開と今回の自然分娩

M.M.

師長:  8月18日に経膣分娩されたMさんにお話して頂きます。
Mさんは、前回、他院で5cmまで開いて分娩停止という事で帝王切開され、今回、妊娠初期では、絶対下から産みたいというわけではなかったのですが、やれるところまでやってみよう……と言う事で、ヨーガ教室の方にも計13回参加されまして、家でも色々散歩とか、体操されて無事に下から産む事が出来ました。1人目のお産の経過はどうでしたか?

Mさん: 1人目の時は、妊娠中ほとんど何もしないままで、散歩をする程度でした。お産の時は、その日明け方の3時頃破水して病院に行きましたが、子宮の開きも良くなくて、夕方ぐらいまでに5cmしか開きませんでした。促進剤の薬とかも飲んだりしたのですが、開かないのでその日はもう寝てくださいと言われました。そうしたら、きれいに陣痛が止まってしまい、朝にはもう痛みもなくて、診察すると、「へその緒が巻いているし、感染もしているので、帝王切開しましょう」と言われ、入院した次の日の夕方に帝王切開しました。

師長: 入院してから、丸1日半ありましたが、どのようにして過ごしていましたか?

Mさん: 廊下を歩いてくださいと言われて、歩いた程度ぐらいです。帝王切開が決まってからは治療や診察もほとんどありませんでした。

師長:  破水に対しての治療や分娩を促すような処置はどうでしたか?

Mさん:  入院した時に、薬を1つ飲みましたが、「何の薬ですか?」ときいたのですが、「さあ……?」って言われて、何の薬かわからない状態で飲みました。それからしばらくたってもう一度聞くと、「抗生剤です」と言われました。それから、夜は、痛み止めの座薬だけもらって寝ました。

師長: シャワーを使うとか、腰を暖めると痛みが和らぐ場合が多いのですが、そういう事はされましたか?

Mさん: 全く無かったです。夜は、赤ちゃんの心音をきいてくれただけで寝ました。

師長: 最終的には、朝5cm開いた時点で帝王切開の診断がついて、帝王切開したのが、夕方ですか?

Mさん: はい。夕方の5時頃でした。

師長: その間はどうされていたのですか?

Mさん:  特には何もしてなかったです。手術の準備と、ベルトを巻いて心音を確かめたぐらいだったと思います。「へその緒が巻いているのと、感染しているから手術しましょう」と説明を受けて不安でしたが、やっぱりきけないというか、先生の言われた通り「そうだから、そうなんだ」っていう思い込みで、手術を待っていました。家族みんなで、「長いね……感染しているっていうのに大丈夫かな?」と心配はしていたのですが……。

師長: 今回は、前回帝王切開という事もあり、妊娠中からしつこいくらい「散歩していますか?体操していますか?」と聞かれたと思うのですが、実際はどうでしたか?

Mさん: ヨーガに通うまでは、ほとんど何もしていなかった状態でしたが、ヨーガに通いだしてから、自分の意識が変わって、上の子がいるので、散歩が出来なかったのですが、でも、それでも10ヶ月くらいになって自分もだんだんと普通に産みたいと思う気持ちも強くなったので、朝起きて、ちょっと30分くらい毎日歩いたりとか、産まれる前のお盆の時は、かなり長い間、坂とか、公園とか、連れて行ってもらって、1人でグルグル歩いて、それで、だんだん張るようになって、そのくらいからです。

師長: しゃがみ込みとかは、お家ではされていましたか?

Mさん: はい、結構していました。最後の方は、腰が痛くなったりとかしてあまり回数は出来なかったのですが、意識的に何か取る時にしゃがみ込むようにはしていました。

師長: 1人目の時はどうでしたか?何か体操とかしましたか?

Mさん: 私、腰痛があったので、そのせいかどうかわからないですが、全くそういう指導は何も無かったです。本当に最後に歩きなさいって10ヶ月になってきいただけで、あとは、全く……。あぐらくらい。それも自分で本を見てです。病院からはありませんでした。

師長:  Mさんが自分で思うに、1人目と2 人目のどこが違っていましたか?

Mさん: やっぱり、意識的に動くように自分でしたのと、ヨーガをして、イメージを自分で作ったんですよ。下から産もうって……。言いきかせたりとか、意識的に開脚したりとかして……。自分の意識が全く違っていたと思います。

師長: フリースタイルで、側臥位・子供の体位・四つん這いと色々と体位を変えましたが、それは、どうでしたか?

Mさん: 最後は、しんどかったです。横向きが一番楽でした。

師長: いきむのも、横向きが楽でしたか?

Mさん: いきむのは、しゃがみ込んだ方が、本当に出るような感じがしました。

師長 : みなさんの方から何かご質問はありませんか?

妊婦A: 立会い分娩ですか?

Mさん: はい。私は、出来ればいいなと思っていたんですが、やっぱりいてくれた方が心強かったです。

妊婦B: 体重はどのくらい増えましたか?

Mさん: 9㎏くらいです。ちなみに前回は7㎏でした。

妊婦C: 帝王切開の傷の痛みは、どんなですか?

Mさん: 結構、吊るような状態はしばらく続きました。ヒリヒリするような感じ。最初の何日かは痛くて、膀胱とかが張ってきても痛いし、わりとつらかったです。やっぱり、今回は楽です。

妊婦D: 会陰切開は、痛いときいたのですが、どうでしたか?

Mさん: 会陰切開したのはわかるんですが、そんなには痛くなかったです。

院長: Mさんの場合は、吸引分娩なので、早めに切開を入れました。普通は、最後の陣痛で産まれる時パチンといれるので痛くないです。その前に入れると痛いです。Mさんは、吸引分娩なので、全開した後、処置の前に局所麻酔をしました。

師長: 最後に、Mさんからみなさんにこれはした方が良い事とかありますか?また、こういった話し合いはどうでしたか?

Mさん: やはり人の話を聞いて、自分もこうしよう、ああしよう、と色々な意見が参考になりました。安産でお産した人はすごく歩いていたりとか、しゃがみ込みをしていたりとか、そういう話をきいていたので、やはり自分もそうしようという気持ちになって、意識的に色々出来ました。
ヨーガはすごく良かったと思います。自然の流れでいったんじゃなくて、気持ちがお産に向かっていったのがわかったので、ヨーガをしたから本当に産めたのだと思います。

師長: Mさんの場合、36週ぐらいになる頃には、赤ちゃんの頭が本当によく下がってきていました。それで、下から頑張りましょう……という事になりました。これは、Mさんが、色々努力した結果だと思います。一生懸命散歩したり、ヨーガをしたり、日常生活を変えたりと意識したからこそ、そこまで、赤ちゃんが下がってきて、結果的には、自然分娩を試みましょう……という事になったのです。人それぞれ違いますが、やはり妊娠中の過ごし方、妊娠中にどれだけ身体を動かしているか、どれだけお産に対して意識をもっているか、という事もMさんの経過を見ていると、とても大切だと思います。

前回は逆子で帝王切開でした

O.R.

師長: 今日は、前回は他院で帝王切開となり、今回は当院で出産されたOさんに体験談をお願いしました。
まず前回のお産の経過と当院でお産しようと思った理由からお願いします。

Oさん: 前回は逆子で予定帝王切開となりました。
8ヶ月頃までは心配ないよって言われていたのですが、9ヶ月の終わりくらいから帝王切開になるかもしれないと言われて、もう10ヶ月になったら帝王切開の日にちを決めるように言われ、それまで、逆子体操とか指導される事も無くそのままの状態で直らなかったら帝王切開になります、と言われました。
それで結局手術の予定日を決めて帝王切開する予定でしたが、その手術日の3日前に夜中に破水して、そのまま病院に行ったら、緊急帝王切開になりました。上の子を産んだ病院が今は無くなっていましたので、今回婦人科の病気でこの日浅産婦人科に来た事があり、その時に先生に帝王切開の事をきかれ、色々な話をききました。その時はまだ2人目の事なんて考えていなかったんですが、2人目が出来た時に先生の言葉を思い出して来てみようかなと思ったのがきっかけです。

院長: 8ヶ月の時にその先生が心配ないと言われたのは何が心配ないとおっしゃったんですかね。

Oさん: 逆子がまだ直る可能性はありますよ、私が「帝王切開になるんですか?」って聞いたら「まだ自然に戻る可能性があるから心配ないよ」って言われました。院長: 逆子が直るかもしれないから大丈夫という事ですね。

Oさん: はい。

師長: 逆子に関して、逆子体操はしなかった、という事でしたが、その7~8ヶ月の頃、何も逆子を直す試みをせず、様子をみていたという事ですか?

Oさん: 張り止めの薬を飲んで安静にするように言われて、家で安静にしている状態でした。

院長: どうして張り止め薬が出たんでしょうね。理解出来ません。

Oさん: 自分では初めての妊娠だったから、おなかが張っているなんて思わなかったんですが、先生からおなかが張ってるよって言われました。

師長: 逆子の場合、帝王切開を勧める病院は多いですが、Oさんの周りや、世間の話の中で逆子だったらどうしなければいけないとかというイメージがありましたか?それとも産める可能性があるというのを聞いた事がありましたか?

Oさん:  逆子は、逆子体操とかお尻を上げたりするのは聞いた事があるけど、まさか自分が逆子になるなんて思っていなかったから詳しくは知りませんでした。

師長: 逆子体操があるのを知っていたそうですが、それは病院から言われなくても自分から逆子体操をしようという気にはならなかった?

Oさん: 友達は逆子体操で直ったそうなので、それを教えてもらってしたけど、したのが遅かったのかもしれないけど、結局直りませんでした。

院長: お医者さんからの逆子体操の指導は無かったという事ですか?

Oさん:  何もありませんでした。

師長: 普通逆子体操するのは28週から32週くらいで、32週過ぎるとなかなか回りづらくなるようです。

Oさん: なんか右を向いて寝て、とかいうのはあったんですが。

師長: 今日来られている方の中にも逆子の方がいらっしゃるようですが、よく骨盤のセミナーとかヨーガのセミナーなど参加すると、自然出産を勧めている施設での逆子の指導というのをききます。まず、逆子体操とか逆子に良いと言われるツボのお灸やマッサージ、骨盤を整えるとか、この脇腹が縮んでくると逆子になりやすく、また逆子が直りにくくなるそうなので、しっかりストレッチする事が必要になってきます。それが妊娠中の身体を整えるという事なんです。そのような情報が得られなかったという事はちょっと残念ですね。

Oさん: 本当にそうです。動いていたら産まれてしまう、それに逆子で破水したら恐いというイメージがあったのでずっと家で動きませんでした。

師長: 家で動かなかったというのも不自然な事です。逆子は腰を振ると直りやすいと言われるので、安静にしていたらその機会が無いからね。

Oさん: はい、全く。

師長: 帝王切開の説明を受けた時、次回のお産はこうなります、とか、帝王切開も100%安全というわけではないですから、その手術に伴うリスクに関しての説明はありましたか?

Oさん: それは無いです。次の事とかも。麻酔の説明と同意書は書いたけど。

師長: ではOさんの中では、安全にすむと思っていたんですね。

Oさん: はい。

師長: そうですね。そう思っている方は多いと思います。帝王切開は最近多いから、100%安全に出来ると思われますが、何百人にひとりは出血が多かったり、再開腹が必要になったり、麻酔のトラブルがあります。今回の妊娠では当院に来られて、前回帝王切開だから妊娠初期から先生の安産指導があったと思いますが、それをきかれてどうでしたか?

Oさん: みんなは1回目帝王切開していたら、2回目も帝王切開って言う人が多いから、自分も2人目も帝王切開で産まないといけないと思っていたので、先生の説明を聞いてビックリしました。
1人目の時と先生が違い、言う事も全然違うし、でも先生を信じて、というのがありました。

師長: おそらく早くからスクワットとか、距離的な問題もありましたのでヨーガは出来なかったと思いますが、具体的にどのような指導があって、どのような事をしていましたか?

Oさん: 先生は初期の頃出血があった時も安静にしなくていいよって言われ、それがとても不思議で「私は安静にしなくていいの?」って思ったけど、先生を信じて、そのまま安静にしなかった。仕事は辞めたけど、家の事はそのまましていました。「薬も出さないよ」と言われてそのまま普通の生活をしていました。
後期になって、おなかの張りを自分でも感じていたんですが、先生はいい張りだから動いて運動してスクワットを最初は200回しなさいって言われて次500回、次1000回って増えていって、半信半疑でこんなにスクワットしてて大丈夫なんって思っていたけど、1000回は出来なかったけど、1日500回はスクワットして、散歩は毎日子供と公園まで歩いて、そこで遊んで、また歩いて帰っていました。先生が運動したら下から産めるかもしれないとずっと言われていたので、もしかしたらというのを信じて運動しました。

師長: カルテで確認すると、8ヶ月の頃には子宮の出口がいい状態になっていたので、先生からも70%くらいの確率で下からいけるだろうと言われていたようですね。1人目帝王切開していると2回目も帝王切開というような不安は家族もあったと思いますが、ご主人は何か言われていましたか?

Oさん: 主人はずっと下から産むのはリスクが高いと思っていて、帝王切開してもらった方が良いのではと言っていました。最初から私と主人は2回目も帝王切開を希望していたんですが、先生からいけるかもしれないと言われて、私は徐々に下から産みたいという気持ちになっていました。主人は怖いから下からはやめたほうがいいと言っていました。毎回病院に行くまで、今日は先生に帝王切開してくださいとお願いするつもりでも、来て先生の話をきくとやっぱり下から産もうかという感じでしたが、でも主人はやっぱり不安はあったみたいです。

師長: これは偶然なのかどうなのか、次の健診までに下から産むか、帝王切開するか決めて健診に来るという予定で、夜遅くまでご夫婦で話し合われて、その話し合われた日にこの子が産まれようとしてきたんですね。破水したんですよね。だから赤ちゃんは赤ちゃんなりにおなかの中できいていたんですかね。
今回も少し早く36週で破水で来られて、この時は赤ちゃんの頭がすごく下がっていて先生の方からまず下からいけるだろうという事で、あんまり大きい赤ちゃんだとお産するにも時間がかかるだろうし、あまり小さかったら小さかったで心配するだろうと思いますが、37週に入る手前で、赤ちゃんとしても産まれていい時期にはなっていました。
破水で来られた時は既に陣痛も始まっていて、でも入院された時は子宮口はまだ1cmくらい開いている状態で、頭はすごく下がっていたんですが、下から産むにしても一応帝王切開の準備をしながら対応しました。
まず破水していたので、感染予防の点滴、そうしている間に陣痛も少しずつ強くなっていって、あれよあれよという間に無事に下から産まれました、入院して7時間くらいですね。
赤ちゃんを下から産むためには骨盤の出口が広がらないと難しい場合がありますが、今回は一生懸命スクワットもしていたので、出口が広がりやすかったのも良かったんだと思います。
陣痛もこれだけ急激に開いたからすごく痛かったと思いますが、お産の時こういうふうな事で、痛みが和らいだとかありますか?

Oさん: 私は声がでてしまって、それはやっぱり「痛い!痛い!」って言った方が自分は楽だったのでずっと「痛い!痛い!」とか「うー」とか声をだして、あと何かにしがみついていたら楽になったので看護師さんに抱きついていたんだけど、途中から主人にしがみついて、看護師さんに後ろから腰を擦ってもらい、それが一番楽でした。

師長: では、これが分娩台の上とか、フリースタイルの考えが無くて、陣痛室で置かれたりしたらどうですか?

Oさん:  いや、みんな友達とかは「1人で陣痛とか耐えよった」とか言うけど、自分は1人目は帝王切開だったから陣痛を経験したのが今回初めてでこうするのが当たり前だと思っていました。看護師さんがずっと擦ってくれていたりして安心とかがあったので、陣痛室や分娩室で1人とかは考えれない。師長: 緊張もしますからね。

Oさん: はい。

師長: 最後までご主人さんは帝王切開を希望されていましたが、こういう出産に立ち会って、また自然に下から産まれて何か言われていましたか?

Oさん: なんか「産んでくれてありがとう」って言ってくれて、1人目の時はそんな事は思わなかったらしいけど、「大変やね」って。間近かで私をみて、自分も一緒に産んだみたいな感じで、1人目も可愛いけど、すごく違う感動はあったようです。

師長: そういう経験があって、産む女性に自己成長があり、立ち会ったご主人さんも父親としての成長があると言われていますので、結果的には良かったですね。

Oさん: はい。本当に良かったです。

師長: 最後に自然出産するのに、妊娠中にどんな事をしていたらいいか再度アドバイスがあればお願いします。

Oさん: 私はスクワットと散歩。それが1人目と全然違う点で、1人目の時はずっと安静だったので、今回はすごく動いたので運動する事は、とても大事だと思います。
今回、妊娠中でも先生の言う事が前回の先生と全然違うので最初は「大丈夫やろか?」って思って、指導に対してもびっくりしました。でも主人も「先生を信じるしかない、先生の言う通りにやってみたらいい」という事で2人で決めて従いました。
本当に先生の言われた事を全てしていました。もし3人目が出来たら、またここで産みたいです。
妊娠生活が楽しかったというのが今回ここで出産させてもらったからで、前回は妊娠生活が長くて、毎日がしんどくて早く産まれてきて欲しいと思ってましたが、今回は運動もしたのであっという間に妊娠生活が終わってしまった感じでした。

師長: 妊娠中楽しいというのが赤ちゃんにとっても一番の胎教ですからね。妊娠・出産に関して病院によって方針が違い、出産方法にも言われていますが、まずは、体験者にきいたり、インターネットで調べたり色々な方法を使って、どんなお産方法があってどんな事が出来るのかという情報を集めてその中から自分の納得したお産方法を選択したらいいと思います。
そして後は先生やスタッフとみなさんとの相性というのもありますから、外来診察だけでなく色々な行事に参加して十分コミュニケーションをとり、少しでも良い環境でお産をして頂きたいと思います。最後に、院長何か。

院長: 前回帝王切開の場合、逆子のお産もそうですが、下から産みたいという強い希望と、こちらの安産指導に従う意識があればこちらも協力しますが、そうでなければお断りし、予定の帝王切開にしています。もちろん、出来れば経膣分娩を、という曖昧な方もお断りしています。つまり、このようなお産は無条件では無いという事です。それとやはり、お産とは何かと深く考え、初めのお産を大切にして頂きたいと心から願っています。

骨盤底が開く意味と自然分娩

I.Y.

師長: 前回は帝王切開、今回は経膣分娩でお産されたIさんに、前回と今回のお産にどんな違いがあったか、アクティブ・バースを理解するためにも大いに参考になりますので、感想を聞かせて頂きたいと思います。

師長: 1回目の妊娠の時はどのように過ごされていましたか。

Iさん: 1回目の妊娠の時の知識というのは、本の中でしかなく、院長先生からヨーガを勧められても一切参加しなくて、安産コース(外来受診時、15分くらいで出来るしゃがみ込みを中心とした運動)も1度も回りませんでした。また、開脚も全くしていませんでした。私がしていたのは唯一散歩だけで、1日2時間くらい歩いていました。

師長: 36週頃から入院まではどんな様子でしたか。

Iさん: 36週の健診の時に赤ちゃんがまだ下がっていない(sp-4cm)という事で、それからも歩いたのですが、37週の早朝に破水し、それと同時に陣痛がきて入院しました。

師長: 入院してから帝王切開になるまでどのような経過でしたか。

さん: 入院した時、子宮口は1cmしか開いていなくて、痛みに対しての不安と緊張だけがいっぱいになっていました。またスタッフ2人がついていてくれたのですが、途中色々言ってくれても、全く体がいうことを効きませんでした。深い呼吸も出来なく、足も85度ぐらいしか開かなくて(それまで体が硬い事に気がつかなかった)、次の日の朝まで苦しみました。しかし全然だめで、(9cm開大 sp+0cm)、院長先生から話があって、とりあえず吸引分娩してだめだったら帝王切開という事になりました。けれど、それも効果なく、結局帝王切開になりました。
その入院中、帝王切開を1度したら次も帝王切開になるものだと思っていたのですが、先生から、「次は下から産もうね」と言われ、次は下から産みたいという気持ちになりました。

師長: 精神的にも緊張し体も硬く、帝王切開になったのですね。ところで2回目の妊娠中の生活は、1回目とどこが違っていましたか。

Iさん: 今回妊娠して、最初に診察に来るまで、3週間あったのですが、その間にも家で開脚をしていました。5ヶ月に入った頃から、院長先生にヨーガを勧められ、6ヶ月からはほぼ毎週参加していました、安産コースも必ず回るようにしていました。
家では散歩は十分出来なかったので、家の中で出来るようなしゃがみ込みや開脚をひたすらしていました。主人とか周りの人は絶対次も帝王切開だと言っていましたが、院長先生だけが「次は下から生めるから……」と言ってくれました。

師長: 妊娠初期から、かなり積極的に安産運動をしたのですね。妊娠後期はどうでしたか。

Iさん: 8ヶ月の終わりに赤ちゃんが下がりすぎていたので安静にと言われて、9ヶ月に入った時も熱(腎盂腎炎)で6日間入院しましたが、退院してからまた動き始めました。

師長: 陣痛が始まって、入院するまでの様子はどうでしたか。

Iさん: 38週に入った11日の朝9時におなかの痛みで目が覚めました。多分生まれても次の日だろうと考え、陣痛の合間にものんびりとしゃがみ込みや開脚をしていました。11時過ぎに母と一緒に病院に着いた時には陣痛も強くなり、子宮口は結構開いていました。

師長: そうですか。病院に来てからの経過は速かったのですが、その様子を話して頂けますか。

Iさん: 入院して約1時間で吸引も必要なく、簡単に出てきてくれました。
自分が一番安産だった事にびっくりし、前回とは全然違っていたので、前回のお産は一体何だったのだろう、と思いました。

師長: 来て1時間ですよね。超びっくりだったねえ。ちなみにね、1人目が大きくて2人目が小さかったから生まれたのではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、1人目の赤ちゃんが2880g、2人目が2830gでほぼ同じ、むしろ、頭は2人目の方が大きかったようです。何が違うかというと、妊娠中の運動が全然違っていたからねえ。……で、体重の増え方はどうでしたか。

Iさん: 1人目が10kg 、2人目が8kg。

師長: やはり、それも良かったのでしょうね。体重は出来るだけ抑えておいた方が安産に繋がりやすいと思います。それと、1人目の時のカルテにも書かれているのですが、やはりマタニティー・ヨーガをしていたら生まれていたケースであろう、と院長がカルテに書いています。
マタニティー・ヨーガの中に開脚とかしゃがみ込みがありますが、それにより骨盤底が開き、赤ちゃんが出てきやすくなるわけです。それが、下から生むための最大の条件ではないかと思います。

院長: 私はいつも言うのですが、体が柔らかい事はお産の時、重要です。Iさんが1人目、陣痛で入院された時85度しか開脚出来ず「こりゃ何だ!」と思わず叫びました。その時、私は大いに反省しまして、体の柔らかい事を目で見て、外来で本人にも簡単にわかる方法として開脚テェックを徹底しようと決心した訳です。

師長: 安産コースは5ヶ月からして頂き、切迫早産気味にもなりました。
その後もしっかり動かれていたのが良かったと思います。みなさん、この方は自然出産であるアクティブ・バースの貴重な体験者です。参考にしてください。

【院長考察】
Iさんは細身でもあるし、1人目は赤ちゃんも大きくないから、多くの場合安産指導がなくても安産のケースです。しかし、開脚度が悪かった(85度)ところをみると、安産体操もしなかったために、本来体が非常に硬く骨盤底が十分に開かなかったのでしょう。入院してからの自然出産方だけでは経膣分娩は出来ませんでした。
しかし、2人目は妊娠中から自然出産の準備(マタニティー・ヨーガとその他の安産体操を)を積極的に行い、途中では切迫早産気味となり、一時期体操を中断した程です。前回帝王切開であったにもかかわらず、今回は逆に超安産(座位分娩)であったのは何かよほどの理由があるはずです。それは、骨盤低が十分に開いていたという事。

このケースから、妊娠中からの運動の重要性を改めてうかがい知る事が出来ます。すなわち、経膣分娩しようとするなら入院してからの自然出産実施だけでは不十分で、妊娠中から時間をかけた準備が必要である事がわかります。

このように、自然出産によって、経膣分娩か帝王切開かのボーダーラインのケースが救われ、また難産が安産に変化したために不必要な機械的処置(帝王切開、吸引、鉗子分娩など)、あるいはその他の医療的処置も減少するため、遭遇する必要のない大小のトラブル(子宮破裂、新生児脳性マヒ、大出血、輸血、大きな軟産道裂傷、膣壁血腫、胎便吸引症候群、母体・新生児の発熱・転送など)が減少するのです。
また、帝王切開といえどもそれだけで終わらず、手術であるからにはやはり大小のトラブルが付随してくるのも当然で、非常に稀ですが重大な結果(母体死亡、生死のさまよい、肺塞栓など)をもたらす事も事実です。実際に帝王切開の増大に伴うトラブルの増加が、問題になりつつあります。更には次のお産も帝王切開の確率が高くなる事です。施設によっては、次も全例帝王切開にする場合があり、その場合は帝王切開による危険性が将来1度2度訪れる事になります。しかし、この事が伏せられて初回の帝王切開がなされているのが現状なのです。

以上が、これからの出産は産婦人科医の不必要な負担と産婦の被害を軽減するため、あるいは達成感による自己成長をもたらすためにも自然出産志向が必要な理由です。
そのためには、出産が自然現象である限り、どんなに医学が発達しても望まない結果はゼロではない事をまず最初に認めることが必要です。

最後に今後も自然出産の議論が高まると期待されますが、自然出産とは現代産科医療の枠組みの中で、自然のリズムに合わせるようにしてお産を導く方法・過程であって、決して医学的介入や処置を必要としない軽いお産を言うのではありません。
したがって、自然出産を行い最終的に帝王切開となっても自分自身が結果に納得し自己成長があれば、それも自然出産です。そのあたりをはっきり認識して自然出産の議論を進める必要があるのです。

吉村先生との出会いがあったお産

N.Y.

「妊婦がお産の主役、納得のいくお産をしたい」
私がこちらの病院を選んだのは、この1件の新聞投稿に出会った事がきっかけでした。この新聞記事はナチュラルバースでお産をされた方が、これからお産をする女性や家族に向けて書かれたもので、日頃から将来の事を気にかけてくれていた母が、私のためにこの記事をずっと持っていてくれたのです。ただ、その病院がいったいどこなのか記事には載っておらず、ネットで色々調べた末、日浅産婦人科に辿り着きました。

初めて先生にお会いし、母と2人でお話を聞かせてもらった時は、母も今まで思っていた不安が消え、何もわからなかった私も自然出産についての知識を得られたとともに、自分も健全なお産をしたい、ここならそれが出来そうだと、とても心強く嬉しく思いました。ただ名古屋に転勤になっていたので、あちらではどこの病院に行ったら良いか、自己管理はちゃんと出来るか、それがとても不安でした。特に病院選びには気を遣いました。幸いにも私の住んでいるところから高速で30~40分かかるのですが、自然出産で有名な岡崎市にある吉村医院を日浅先生に紹介して頂き、受診しました。

初めて主人と行った時の印象は今でも忘れません。「どんな生活送ってんの?あんた、食いすぎ。食っちゃ寝してちゃだめよ。運動しなさい!お菓子や脂っこいものばかり食べずに菜っ葉を食べなさい!昔の人は妊娠してもみんな動いてたんです。ご飯もお風呂も薪でわかしてたんだから。お産なんて自然なもの。馬や牛が分娩台でお産しますか?ラマーズ方使いますか?みんな自分の力で自然にお産するんです。あなたも自分の力で生みたいでしょう。厳しい事を言うようだけど、あなたたち2人の幸せを思うからこそ言ってるんですよ」
思えば引っ越して間もない頃、つわりが苦しいのと、まだ生活にも慣れない事から、私自身床に伏せがちでした。主人も気を遣って家事についても全面的に協力してくれていたのです。それ以来、規則正しい生活はもちろんの事、食事にも気をつけ、スクワットやヨーガなど運動もかかさないようにしました。休みの日には主人と2人で散歩もしました。

しかしやはり何分遠い事もあり、自分1人で行きづらい事や、何かの時のために、近くの病院も受診する事にしました。当日その先生に言われた事は、「おなかの張りがひどい。動けばいいというものじゃない。赤ちゃんも下がってきているし、何かあった時には子供には責任があるのだから。母親として自覚しないと……今のままでは早産になる可能性がある」との事。そしてその日に張り止めのお薬を出されたのです。診察もせずおなかを触っただけなのにまさか……とは思いましたが、お医者さんが言われる事だし、状況が変わってしまったのではとすごく不安になりました。でも吉村先生には、今おなかが張るのは良い事だと言われていたし、ちょうどその2週間前の診察でも、まだまだ運動が足りない!と指導をされたばかりだったのです。 
以前、日浅先生に「この先、他の病院で、安静にしなさいとか、薬を出される事があるかもしれない。でも、もしそういうふうな状況があれば吉村先生か私に相談しなさい」と言われていた事を思い出しました。電話で母に相談し、頂いたお薬は飲まずすぐ今治に帰り、その事を先生に話しました。「早産なんてとんでもない!じゃんじゃか動きなさい!」と以前と同じ事を言われました。
名古屋に帰ってからは、主人とも相談し、「遠くても月に1回の事だし、受診の日は仕事も休みをとって車を出すから、最後まで信用出来る病院で見てもらおうよ」と言われ、それからはずっと吉村先生に見て頂く事にしました。するとやはり、「あなたの場合は早産なんてありえない。遠慮なく動きなさい!まあ、するとしたら、500万回に1回くらいじゃないですか」と冗談を言われました。
それからも、安産のために必要な事を色々ときかせて頂き、とても充実した日々を過ごす事が出来ました。その頃には、ヨーガとスクワット300回~500回、2時間~3時間の散歩が、私の日課となっていました。

今思えば、そもそも私は妊娠当初から子宮口が堅いと言われ、難産になる可能性もあるため、ヨーガを始め少しでも体を動かす事を指導されていたのです。それ以降、赤ちゃんは順調に下がってきているものの、運動を続けてもなかなか柔らかくならない子宮口に、もしかして体質のせいもあるのかと悩んだくらいでした。ただ安静にと言われれば、確かに身重な体である妊婦にとっては楽な事に間違いはないのです。しかし、必ずそのつけはお産の時にまわってくるでしょう。私もこの時その指示に従い、安静にしていたら難産になっていたかもしれません。あるいは何らかの医療的処置が必要となったかもしれないのです。同じ状況であっても、先生によって言われる事が全然違う……自分の子供が危険にさらされると知れば、誰だって初めての事だし、お医者さんの言葉を信じてしまいます。そういった意味で怖いと思いました。

いよいよ最後に吉村医院を受診した日、先生に「大丈夫。あなたは絶対に下から産めますよ。日浅先生によろしくね。産まれたら、どんなお産になったのか、私にもちゃんと報告するんですよ」と言われました。いつもはまだ運動が足りないとか、食べすぎだと怒られてばかりだったのに……先生の率直な指導があったから私はここまでこれたんだなという感謝の気持ちと、絶対に自分の納得のいくお産をしてやるんだという気持ちでいっぱいになりました。そして、早産治療薬も飲まず、しかもよく動いても切迫早産さえにもならなかった事と、名古屋のお医者さんの診断との落差に怒りも感じました。

出産のため今治に帰ったのは、臨月に入って間もない頃でした。お産は予定日の2日前、6月6日の朝9:20にそれほど強い陣痛ではなかったのですが、8~10分おきの痛みを感じ、入院する事になりました。それからは安産コースを回ったり、まだそれほど痛くない段階で、看護師さんが持ってきてくれた道具で、さまざまなフリースタイルを試してみました。私の場合、中でも四つん這いが一番楽でした。ひとつの体位でも時期によって感じ方が違ってきますが、この時あらかじめさまざまな体位があるのを知る事が出来たため、実際のお産の時に次々と試す事が出来、すごくためになったと思います。お灸もしましたがこれは思った程熱くなく、特に気持ち良かったのが腰のアロママッサージで、時おりくる陣痛の中でも、リラックスしてうとうととする事が出来る程でした。
夕方には名古屋から主人も駆けつけ、痛みが強くなってからは、緊張をほぐすためにお風呂に入りました。1回目は1人で入りとてもリラックス出来、痛みが少し和らいだような気がしました。2回目は主人に付き添ってもらい、この時は痛みも強くなっていたため、陣痛がくる時には湯船に入って擦ってもらいました。

そうしているうちに子宮口は全開になり、深夜ずっと私を励まし、腰をさすり優しくお産に導いてくださった看護師さんが、「赤ちゃんが生まれますよ!お母さんの胸のボタンをはずしてあげて下さい!」と言われた時は、「あっ、本当にもうすぐ私の赤ちゃんに会えるんだ!」と思いました。生まれる瞬間は痛みもなく、信じられない程自然に出てきたと思います。そして、大きな泣き声とともに温かい赤ちゃんを胸に抱いた時、無事産まれたんだという安堵の気持ちとともに、感動の涙がこぼれました。心から、愛おしいと思ったのです。「写真を!写真を撮って!」という看護師さんの声で、初めて主人がビデオカメラをまわしました。携帯カメラのシャッターをきる母の目にも涙が光っていました。「お父さん、へその緒を切ってください」と言われ、手渡されたはさみでへその緒を切りました。「もうちょっとだから、もうちょっとだからね。頑張れ!」と言いながら必死で腰をさすってくれた主人や、「痛いよね、痛いよね……頑張ろうね」とずっと優しく、私の額の汗をふき取ってくれていた母。生まれたその瞬間の命の誕生を、みんなで喜び合ったこの記憶は、いつまでも忘れる事なく子供に伝えたいと思います。
また、私にここでの出産を薦めたものの、フリースタイルというものも知らないし、最初は「えーここでお産するの?」と言っていた母も、最初から部屋にいると最後まで傍にいるのが自然で、途中で分娩台に移動する方が不自然だった事に気づいたと言っていました。

帝王切開などの医療的処置が増えている昨今、私は自分自身が妊娠し、初めてそのお産方法に疑問をもちました。私が一度だけ受診したその名古屋の病院も、ネット上ではさまざまな事をうたっています。しかし、実際に受診してみて思ったのは、例え選択肢が沢山あっても、本当に大切なのは、事実に基づいたデータや体験談を公開しているかどうかという事です。沢山ある情報に操られてしまわないよう、真実を自分自身の力で見極める力も必要だと感じました。
お産自体については、私は今回が初めてだったため、それを何かと比較する事は出来ません。ただ、今回幸運にも心から信頼出来る2人の先生に巡り会えた事、だからこそ、その指導を守り最後まで自分を信じて努力出来た事。やってだめなら仕方がない。でも、努力しなかったから……と後悔したくなかったから。結果、出来る事はやったという達成感もありました。そして、自分自身の力で赤ちゃんを産むという事。痛くてつらい陣痛を乗り越えた事。その事が、こんなにも自分に自信を与え、子供にこの上ない愛おしさを感じさせるものか。これからお産をする人にも、是非味わってもらいたいと思うのです。

最後に、こんな素晴らしいお産を私たちにくださった先生やスタッフのみなさんに、心から感謝したいと思います。本当にありがとうございました。

平成17年7月7日