体験談

前回は逆子で帝王切開でした

O.R.

師長: 今日は、前回は他院で帝王切開となり、今回は当院で出産されたOさんに体験談をお願いしました。
まず前回のお産の経過と当院でお産しようと思った理由からお願いします。

Oさん: 前回は逆子で予定帝王切開となりました。
8ヶ月頃までは心配ないよって言われていたのですが、9ヶ月の終わりくらいから帝王切開になるかもしれないと言われて、もう10ヶ月になったら帝王切開の日にちを決めるように言われ、それまで、逆子体操とか指導される事も無くそのままの状態で直らなかったら帝王切開になります、と言われました。
それで結局手術の予定日を決めて帝王切開する予定でしたが、その手術日の3日前に夜中に破水して、そのまま病院に行ったら、緊急帝王切開になりました。上の子を産んだ病院が今は無くなっていましたので、今回婦人科の病気でこの日浅産婦人科に来た事があり、その時に先生に帝王切開の事をきかれ、色々な話をききました。その時はまだ2人目の事なんて考えていなかったんですが、2人目が出来た時に先生の言葉を思い出して来てみようかなと思ったのがきっかけです。

院長: 8ヶ月の時にその先生が心配ないと言われたのは何が心配ないとおっしゃったんですかね。

Oさん: 逆子がまだ直る可能性はありますよ、私が「帝王切開になるんですか?」って聞いたら「まだ自然に戻る可能性があるから心配ないよ」って言われました。院長: 逆子が直るかもしれないから大丈夫という事ですね。

Oさん: はい。

師長: 逆子に関して、逆子体操はしなかった、という事でしたが、その7~8ヶ月の頃、何も逆子を直す試みをせず、様子をみていたという事ですか?

Oさん: 張り止めの薬を飲んで安静にするように言われて、家で安静にしている状態でした。

院長: どうして張り止め薬が出たんでしょうね。理解出来ません。

Oさん: 自分では初めての妊娠だったから、おなかが張っているなんて思わなかったんですが、先生からおなかが張ってるよって言われました。

師長: 逆子の場合、帝王切開を勧める病院は多いですが、Oさんの周りや、世間の話の中で逆子だったらどうしなければいけないとかというイメージがありましたか?それとも産める可能性があるというのを聞いた事がありましたか?

Oさん:  逆子は、逆子体操とかお尻を上げたりするのは聞いた事があるけど、まさか自分が逆子になるなんて思っていなかったから詳しくは知りませんでした。

師長: 逆子体操があるのを知っていたそうですが、それは病院から言われなくても自分から逆子体操をしようという気にはならなかった?

Oさん: 友達は逆子体操で直ったそうなので、それを教えてもらってしたけど、したのが遅かったのかもしれないけど、結局直りませんでした。

院長: お医者さんからの逆子体操の指導は無かったという事ですか?

Oさん:  何もありませんでした。

師長: 普通逆子体操するのは28週から32週くらいで、32週過ぎるとなかなか回りづらくなるようです。

Oさん: なんか右を向いて寝て、とかいうのはあったんですが。

師長: 今日来られている方の中にも逆子の方がいらっしゃるようですが、よく骨盤のセミナーとかヨーガのセミナーなど参加すると、自然出産を勧めている施設での逆子の指導というのをききます。まず、逆子体操とか逆子に良いと言われるツボのお灸やマッサージ、骨盤を整えるとか、この脇腹が縮んでくると逆子になりやすく、また逆子が直りにくくなるそうなので、しっかりストレッチする事が必要になってきます。それが妊娠中の身体を整えるという事なんです。そのような情報が得られなかったという事はちょっと残念ですね。

Oさん: 本当にそうです。動いていたら産まれてしまう、それに逆子で破水したら恐いというイメージがあったのでずっと家で動きませんでした。

師長: 家で動かなかったというのも不自然な事です。逆子は腰を振ると直りやすいと言われるので、安静にしていたらその機会が無いからね。

Oさん: はい、全く。

師長: 帝王切開の説明を受けた時、次回のお産はこうなります、とか、帝王切開も100%安全というわけではないですから、その手術に伴うリスクに関しての説明はありましたか?

Oさん: それは無いです。次の事とかも。麻酔の説明と同意書は書いたけど。

師長: ではOさんの中では、安全にすむと思っていたんですね。

Oさん: はい。

師長: そうですね。そう思っている方は多いと思います。帝王切開は最近多いから、100%安全に出来ると思われますが、何百人にひとりは出血が多かったり、再開腹が必要になったり、麻酔のトラブルがあります。今回の妊娠では当院に来られて、前回帝王切開だから妊娠初期から先生の安産指導があったと思いますが、それをきかれてどうでしたか?

Oさん: みんなは1回目帝王切開していたら、2回目も帝王切開って言う人が多いから、自分も2人目も帝王切開で産まないといけないと思っていたので、先生の説明を聞いてビックリしました。
1人目の時と先生が違い、言う事も全然違うし、でも先生を信じて、というのがありました。

師長: おそらく早くからスクワットとか、距離的な問題もありましたのでヨーガは出来なかったと思いますが、具体的にどのような指導があって、どのような事をしていましたか?

Oさん: 先生は初期の頃出血があった時も安静にしなくていいよって言われ、それがとても不思議で「私は安静にしなくていいの?」って思ったけど、先生を信じて、そのまま安静にしなかった。仕事は辞めたけど、家の事はそのまましていました。「薬も出さないよ」と言われてそのまま普通の生活をしていました。
後期になって、おなかの張りを自分でも感じていたんですが、先生はいい張りだから動いて運動してスクワットを最初は200回しなさいって言われて次500回、次1000回って増えていって、半信半疑でこんなにスクワットしてて大丈夫なんって思っていたけど、1000回は出来なかったけど、1日500回はスクワットして、散歩は毎日子供と公園まで歩いて、そこで遊んで、また歩いて帰っていました。先生が運動したら下から産めるかもしれないとずっと言われていたので、もしかしたらというのを信じて運動しました。

師長: カルテで確認すると、8ヶ月の頃には子宮の出口がいい状態になっていたので、先生からも70%くらいの確率で下からいけるだろうと言われていたようですね。1人目帝王切開していると2回目も帝王切開というような不安は家族もあったと思いますが、ご主人は何か言われていましたか?

Oさん: 主人はずっと下から産むのはリスクが高いと思っていて、帝王切開してもらった方が良いのではと言っていました。最初から私と主人は2回目も帝王切開を希望していたんですが、先生からいけるかもしれないと言われて、私は徐々に下から産みたいという気持ちになっていました。主人は怖いから下からはやめたほうがいいと言っていました。毎回病院に行くまで、今日は先生に帝王切開してくださいとお願いするつもりでも、来て先生の話をきくとやっぱり下から産もうかという感じでしたが、でも主人はやっぱり不安はあったみたいです。

師長: これは偶然なのかどうなのか、次の健診までに下から産むか、帝王切開するか決めて健診に来るという予定で、夜遅くまでご夫婦で話し合われて、その話し合われた日にこの子が産まれようとしてきたんですね。破水したんですよね。だから赤ちゃんは赤ちゃんなりにおなかの中できいていたんですかね。
今回も少し早く36週で破水で来られて、この時は赤ちゃんの頭がすごく下がっていて先生の方からまず下からいけるだろうという事で、あんまり大きい赤ちゃんだとお産するにも時間がかかるだろうし、あまり小さかったら小さかったで心配するだろうと思いますが、37週に入る手前で、赤ちゃんとしても産まれていい時期にはなっていました。
破水で来られた時は既に陣痛も始まっていて、でも入院された時は子宮口はまだ1cmくらい開いている状態で、頭はすごく下がっていたんですが、下から産むにしても一応帝王切開の準備をしながら対応しました。
まず破水していたので、感染予防の点滴、そうしている間に陣痛も少しずつ強くなっていって、あれよあれよという間に無事に下から産まれました、入院して7時間くらいですね。
赤ちゃんを下から産むためには骨盤の出口が広がらないと難しい場合がありますが、今回は一生懸命スクワットもしていたので、出口が広がりやすかったのも良かったんだと思います。
陣痛もこれだけ急激に開いたからすごく痛かったと思いますが、お産の時こういうふうな事で、痛みが和らいだとかありますか?

Oさん: 私は声がでてしまって、それはやっぱり「痛い!痛い!」って言った方が自分は楽だったのでずっと「痛い!痛い!」とか「うー」とか声をだして、あと何かにしがみついていたら楽になったので看護師さんに抱きついていたんだけど、途中から主人にしがみついて、看護師さんに後ろから腰を擦ってもらい、それが一番楽でした。

師長: では、これが分娩台の上とか、フリースタイルの考えが無くて、陣痛室で置かれたりしたらどうですか?

Oさん:  いや、みんな友達とかは「1人で陣痛とか耐えよった」とか言うけど、自分は1人目は帝王切開だったから陣痛を経験したのが今回初めてでこうするのが当たり前だと思っていました。看護師さんがずっと擦ってくれていたりして安心とかがあったので、陣痛室や分娩室で1人とかは考えれない。師長: 緊張もしますからね。

Oさん: はい。

師長: 最後までご主人さんは帝王切開を希望されていましたが、こういう出産に立ち会って、また自然に下から産まれて何か言われていましたか?

Oさん: なんか「産んでくれてありがとう」って言ってくれて、1人目の時はそんな事は思わなかったらしいけど、「大変やね」って。間近かで私をみて、自分も一緒に産んだみたいな感じで、1人目も可愛いけど、すごく違う感動はあったようです。

師長: そういう経験があって、産む女性に自己成長があり、立ち会ったご主人さんも父親としての成長があると言われていますので、結果的には良かったですね。

Oさん: はい。本当に良かったです。

師長: 最後に自然出産するのに、妊娠中にどんな事をしていたらいいか再度アドバイスがあればお願いします。

Oさん: 私はスクワットと散歩。それが1人目と全然違う点で、1人目の時はずっと安静だったので、今回はすごく動いたので運動する事は、とても大事だと思います。
今回、妊娠中でも先生の言う事が前回の先生と全然違うので最初は「大丈夫やろか?」って思って、指導に対してもびっくりしました。でも主人も「先生を信じるしかない、先生の言う通りにやってみたらいい」という事で2人で決めて従いました。
本当に先生の言われた事を全てしていました。もし3人目が出来たら、またここで産みたいです。
妊娠生活が楽しかったというのが今回ここで出産させてもらったからで、前回は妊娠生活が長くて、毎日がしんどくて早く産まれてきて欲しいと思ってましたが、今回は運動もしたのであっという間に妊娠生活が終わってしまった感じでした。

師長: 妊娠中楽しいというのが赤ちゃんにとっても一番の胎教ですからね。妊娠・出産に関して病院によって方針が違い、出産方法にも言われていますが、まずは、体験者にきいたり、インターネットで調べたり色々な方法を使って、どんなお産方法があってどんな事が出来るのかという情報を集めてその中から自分の納得したお産方法を選択したらいいと思います。
そして後は先生やスタッフとみなさんとの相性というのもありますから、外来診察だけでなく色々な行事に参加して十分コミュニケーションをとり、少しでも良い環境でお産をして頂きたいと思います。最後に、院長何か。

院長: 前回帝王切開の場合、逆子のお産もそうですが、下から産みたいという強い希望と、こちらの安産指導に従う意識があればこちらも協力しますが、そうでなければお断りし、予定の帝王切開にしています。もちろん、出来れば経膣分娩を、という曖昧な方もお断りしています。つまり、このようなお産は無条件では無いという事です。それとやはり、お産とは何かと深く考え、初めのお産を大切にして頂きたいと心から願っています。

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