体験談

アクティブ・バースセミナーに参加して決めました

S.M.

師長: 今日はみなさんも顔なじみだと思いますが、Sさんに体験談をお願いしたいと思います。まず、当院を選んだ理由からお願いします。

さん: 去年の1月に中央公民館でアクティブ・バースセミナーがあって、私は家庭科の教員をしていたので「きいた方がいいよ」と勧められました。興味もあったので行きました。
話をきくまでは、自分が妊娠も出産も経験していないのに授業では教えなくてはいけなくて、勉強していると分娩台を使ったお産の大変さや陣痛促進剤の害、自然出産や水中分娩などを知りました。
それで、自分が出産する時にはそういう事をきちんと考えてくれるところで出産したいと思っていましたが、今治の産婦人科では、そういうところがなくて残念に思っていました。
だけど、講演会で日浅産婦人科ではアクティブ・バース、ナチュラルバース、自然出産をしている!!と知って本当に嬉しかったです。
当時、ちょうど友達が妊娠していて京都で出産する予定でしたが、「今治で自然出産をしている病院があるよ」と言ったら、「今から今治に帰って出産する!!」という事になって里帰りをし、10日目に出産しました。出産の様子をきくと、「本当に幸せなお産だった!!」と言っていて、「出産は大変だ、もう嫌だ」ときくのに、“幸せ”というのはすごいなと思って感動しました。私たち夫婦は子供の事は考えてなかったのですが、その話をきいて、子供のいる生活もいいかな……と思って妊娠して、ここに来ました。

師長: Sさんは初めてのお産、そして年齢的な事で先生から色々な安産指導があったと思いますが、それについてはどうでしたか?

Sさん:  最初の健診の時、つわりでそこのトイレで吐いていたんですが、散歩を2時間しなさいと言われて、こんな状態では無理やなぁと思いながら「はい」と返事していたんです。でもそれが頭にあって、つわりで寝ていても体力がどんどんなくなるのがわかったから、ちょっと起きられる時はマンションの周りを少しでも歩くようにしていたんです。他の産婦人科にかかっている友達は「そんなに歩いてて危ないんじゃない?」とか言われたのですが、きっと大丈夫だと思っていたので、出来るだけ歩いていました。そうしながら、とにかく先生が言われるように仕事をして帰って、歩けるのは夜中しかなかったんですが、主人が一緒に歩いてくれて、10時とか11時とかでしたが、出来るだけ歩いていました。

師長: あと具体的にしゃがみ込み何百回とか、ヨーガをしなさいとか、指導があったと思いましが、どうでしたか?

Sさん: ヨーガは多分5ヶ月くらいから来させてもらって、ここのヨーガをしてみたらとても気持ちが良くて、途中で横になってリラックスしたら、意識がなくなるような時もあるくらいリラックス出来ました。これだったら毎回来たいなって思って、ちょうど、家から病院まで歩いて25分くらいなので、ヨーガをきっかけに歩く事も出来ました。

師長: 結局ヨーガは何回くらい来られたのですか?

Sさん: 20回くらいだと思います。

師長: 実際マタニティー・ヨーガをして何が一番良かったか、また何が役に立ちましたか?

Sさん: ヨーガの体操の時に、この体操はこういう時に効くとか、ネコのポーズをするとか、色んな体位をする時に説明してくれて、ああこういう事があるんだというのもわかり、最初は家に帰ってやろうと思っても全然覚えてなくて、やっぱり行ってからしようと思うんですが、でも来る度にだんだん覚えてきて、腰痛の時には骨盤の体操を家でも何度かして、おかげで腰痛は全くありませんでした。
それと、出産の時は痛みのために体を反らしてしまうけど、「本当は丸める方がいいですよ」と言ってくれていて、実際に出産の時には体を丸めるように意識出来たので良かったです。
それと、排便をする感じで出産をするっていうのを教えてもらったんですが、いきむのではなくて、深く息を吐いて吐いてというのが出産には良いので、便をする時に、うーんっていきむんじゃなくて、深く吐くという事を練習してたら良いよ、と教えてくれたので、それをきいてからは、トイレに行く度に吐く事を練習していたのが役に立ちました。

師長: これは早くから行ってもいいですが、妊娠後期になって便秘がちになる人もいるかと思いますが、そういう時、息を止めてうーんと顔に力をいれていきむのではなく、息を吐きながら、高いものを下に押し下げるようにイメージしながら便を出す。そして、その便がでる感覚、吐きながら便を出す感覚を身に付けておくといいと思います。

師長: 呼吸とかはどうでしたか?

Sさん: なんとなく最初から腹式呼吸とかは慣れていたんですが、「はい、吸って」とか言う時にもう吐きたかったりするので、合わせられるところを合わせて自分のペースでやっていたという感じでした。体操と合わせてやれたのが良かったです。

師長: Sさんのお産の経過をお話しすると、安産、びっくりするくらい安産でした。一生懸命散歩をし、体操もしていたので、妊娠中からかなり赤ちゃんの頭も下がっていたようで、予定日より早く産まれるかなと思っていましたが、実際は予定日を過ぎて40週と6日。早くから子宮口も2~3cm開いていたんですよね。
2月16日の夜中に入院になったわけですが、この時は少し赤ちゃんの動きが悪いという事だったんですかね?

Sさん: いつも夜によく赤ちゃんが動く感じがしていたのに、さっきまで動いていたが、夜中目が覚めると、全然動かなくて、おなかを揺すってみても反応が無くて心配になりました。病院に電話をしたら、心音だけでもはかりに来ませんかという事で、結局赤ちゃんが寝ているだけで安心しました。その時、もう子宮口も開いているし、予定日も過ぎているから入院という事になりました。

師長: その時、痛みは?時々張る程度?

Sさん: はい。

師長: 痛みはまだあまり強くないようでしたが、もう3cm開いているので、様子観察という事で入院となりました。そして、入院中は安産コースを回ったり、ヨーガをしたり、散歩に出かけたりして、本格的な痛みがきたのは20日でしたが、その4日間の入院生活はどうでしたか?

Sさん: 入院して、1日目にお風呂に入らせてもらったんですが、大きな風呂を自分の好きな香りにしてもらって、ものすごく贅沢で気持ちが良かったです。ここで出産したいと言う人の気持ちがわかるなあと思うくらい気持ちが良くて、自分も水中分娩しようかな……と思いました。そして、入院から出産まで4日だったんですが、看護師さんみんなと話が出来て、どの看護師さんもちょっとききたい事がききやすいというか、こちらの気持ちをいつも汲んでくれて安心させてくれる事ばかりでした。
私の場合年齢も高く、予定日を過ぎ、陣痛がこなくて、赤ちゃんの心音が弱い時もあるという事で、先生は「他の病院ならすぐに陣痛促進剤だなぁ」という状態で、何日も赤ちゃん力を信じて、辛抱強く自然に陣痛がくるのを待ってくれました。それが一番ありがたかったです。
入院中も常に運動しなさいという事だったので、ちょっとマンションに帰って掃除をしたり、食事の支度をしたりしてまたこちらに帰ってくるというのがちょっと続いて、快適な入院生活というか、全然陣痛もこなくて、食事は美味しいし、実家は予定日は過ぎてるし、今日か、今日かと毎日待ってくれているのですが、全くその兆候はありませんでした。

師長: そうですね。Sさんはそんなに強い痛みは無かったのですが、毎日1cmずつ開いていて、産まれた20日には5cmでした。お産の経過を言うと、20日の13時の診察で5cmか開大していましたが、まだ痛みはなく、14時からのマタニティー・ヨーガ教室にも参加し普通にヨーガも出来ました。その後、他の妊婦さんと立ち話していたら、破水したような感じがある……という事で、それはどんな感じでしたか?

Sさん: そこのトイレで話していたのですが、なんかサラサラと出てくる感じがして、これもきいていたので、破水かな?と思ってトイレに行ったら、やっぱりナプキンが濡れていて、それですぐに言いました。

師長: すぐに2階のお部屋に帰って診察して頂いたのですが、やはり破水で、子宮口は7cm開いていました。ヨーガをしながら7cm、すごいですよね。
まあ、7cm開いてはいましたが、破水していましたので、この時点ではすぐにお風呂に入るというのが難しくて、水中分娩希望というのも聞いていましたが、とりあえず、もう少し、痛みが出て子宮口が開くまで待とうという事で、足浴をして様子を見ていたのですが、それからどんどん陣痛が強くなりはじめたんですよね。
よくフリースタイルの話をした時に自分はどんな体位をとったら良いかわからないという方がいますが、Sさんはどうでしたか?

Sさん: えーと、前かがみになって前にもたれるようにするのが楽だったので、そう言うと大きいクッションを持って来てくれて、ベッドにクッションを置いてそれにもたれかかるようにして座ったり、四つん這いになったりしました。
その時に「お風呂にも行けるよ」と言ってもらったのですが、自分の状態がお風呂まで行けない状態だったので、「もうここで良いです」と言って、痛みがきたら、ふーって息を吐いて、ちょうど師長さんがいてくれて、後ろから押してくれるんです。背骨の間を。そこを押してくれると痛みが逃せられる、というところを的確に押してくれるんです。それが、どんどん下にいくって感じなんですが、でも陣痛と陣痛の間はまた話が出来るという感じでした。けど、どんどん痛みの間隔が短くなって、息は吐くだけで良かったのが声をださないと逃げられないというか、そんな痛みが押し寄せてきて、もうこのままで……と思っていたんですが、「ベッドに横になった方が楽じゃない?」と言われて、陣痛の合間に横になったら、その方が楽で、そのまま出産になりました。

師長: まだほとんどの産科では分娩台を使っているわけで、分娩台に移動する時期は産院によって違いますが、もし7cm開いて破水して痛みが出始めた時期から、または声がで始めた時期から分娩台にあがりなさいと言われたらどうですか?

Sさん: いや~とても無理!無理です。産後分娩台にあがって診察がありましたが、その時でさえあの高さは大変だなと思うのに、あんな陣痛がおしよせてくる時期にあがるのは無理です。それに、仰向けでずっと同じ状態で痛みを逃すというのは考えられないなと思います。今でも他の病院では分娩台だと思うと、そこで産む人たちは可哀そうです。知らなくて、分娩台しかないと思っている人が多いと思うんですが、出産の痛みは全然違うと思います。

師長: そうですね。あと、分娩台にあがる事によって妊婦さんにマイナスの事が起こる事もあれば、そのために器械的な処置が必要になる事もあり、それで傷が深くなる事もあります。でもそれが普通だ、当たり前だと思えば、ああ~なんてお産はしんどいんだ、つらいんだ、という事になります。
だから、1人でも多くの人にお産には色々あって、その一つ一つの良いところ、悪いところを理解した上で、自分にあったお産方法を選んで欲しいと思います。産まれてすぐカンガルーケアーをしましたが、それはどうでしたか?

Sさん: はい。私は感動して涙が出るのかな、と思っていたのですが、
無事に産まれてくれた事にほっとして……、へその緒が首に巻いていると言われていたので、まず産まれてきてくれたので安心しました。その時には涙は出なかったのですが、後で聞くと、主人の方が「涙が出た」と言っていました。
カンガルーケアーで抱かしてもらって、本当に温かくて、おなかにいた時から、「どんな風にしてるんやろ。おなかが透けて見えたらいいのに」といつも思っていたので、産まれてきて、こうして丸まって胸の上にいるのを見ると本当に可愛いくてたまりませんでした。

師長: あと、立会い出産について、色々賛否両論あると思いますが、例えば、自然出産で、奥様の傍にずっと寄り添って出産する立会いと、分娩台で、ただ苦しんでいる姿を見ているだけという立会い出産とはちょっと違うと思いますが、2人で協力し、励まし、同じ時を過ごして一緒にお産をしたご主人というのは、子供さんが産まれてからの育児の参加が違うと言われますが、Sさんのところはどうですか?

Sさん: 私もまだぺースがつかめなくて、夜もなかなか眠れないのですが、すごく助けてくれます。今は実家にいるのですが、仕事が終わったらすぐ赤ちゃんを見に来るし、「何でも出来る事はするから」と言ってくれるし、朝も数分しかなくても、ちょっと見に来るし、本当に可愛くて仕方がないようです。

師長: 最後にアクティブ・バースとういのは、出産するその時だけでなく、妊娠中の体づくり、そして、心の準備、自分で産もうという気持ち、そういうところが大切ですが、Sさんはアクティブ・バースを経験して、どうでしたか?

Sさん: アクティブ・バースって本で調べていた段階では、産まれる時に自分の好きな体位をとるって思っていたんですが、それまでの体づくりが大切で、安静に安静にってしていたらおなかが大きくなってきて、それから動こうと思っても動けなかったと思うけど、あまり大きくない時期から少しづつ動いていたので、出産まで動けたと思うし、体力もついたと思います。お産も、誰かに産ませてもらうのではなく、「自分で産むんだ」という気持ちも備わってきたと思います。
フリースタイルの病院は他にあるかも知れないけど、安産指導をしてくれるというのはアクティブ・バースの良いところだと思います。それと、安産コースを作ってくれたり、薪をのこぎりでひいたりと、色々な方法で安産になる体づくりをしてくれて、先生やスタッフの方々の優しさを感じました。
病院にとっては分娩台のお産の方が何もしなくて楽だと思うのですが、ここではみんなが本当に色々面倒な事をしてくれて、出来るだけ安産になるように協力してくれて、感謝しています。
同じアクティブ・バースの病院でも違うと思います。

師長: 先生がよく自然のリズムという事を言われますが、自然のリズムに合わせるためには、リラックスという事が大切になってきます。
Sさんは入院してからお産まで時間はかかりましたが、それはそれで、Sさんには十分意味のある事で、その間で、病院に慣れる、スタッフに慣れるという事で、まず精神面のリラックスには繋がったのではと思いますが。

Sさん: はい。全然違うと思います。出産の時だけ行って、そこで初めて会うまたは顔だけ知っている看護師さんとか先生にお産に立ち会ってもらうのと全く違って、この4日間の中で、家庭の話や色々して、信頼感とか安心感がつくれた中で出産出来たのは本当に良かったです。
他の病院で出産した友人の話とか聞くと、交代の時間だからとか言って、陣痛がすごく大変な時期にパッと看護師さんが代わって、「えっ」てびっくりした、とか言っていたのですが、やっぱり信頼出来て、自分もリラックス出来てという環境で、こういうヨーガの教室を通してこの病院ではそういうルートを整えてくれているんだと思います。

師長: 最後に安産のためのアドバイスをお願いします。

Sさん: やはり、体を柔らかくする事は大事で、ヨーガを重ねる度に自分で柔らかくなっているなと実感出来るのと、散歩にしても体力を付けておくというのは大事でした。私は出産の時に体力がいるんだと思っていたのですが、その後の育児にも体力が必要です。その他では、お産を楽しみにしてください。痛くて怖いんじゃないかと思うより、楽しみにしている方がリラックス出来るというのを聞いて、「本当にそうだったなあ」と思います。産まれてくるのが楽しみで、ここで他の方の体験談を聞いて、その度に感動して涙がでるくらい自分のお産が楽しみでした。想像以上の喜びがあると思うので、みなさんも楽しみにしていてください。出産後、先生が母子手帳に、「神に感謝します」と書いてくれたのが印象的でした。私たち夫婦が子供が欲しいと思うきっかけになった京都の友達の出産は2月20日でした。娘もちょうど1年後の2月20日に産まれました。この偶然に驚くのと同時に本当に神様に感謝します。

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