体験談

里帰りの高年初産

Y.T.

私は37歳、平成17年2月20日予定日より8日早く2,800gの女の子を出産しました。高齢出産、妊娠中毒症、へその緒が首に巻いていた事、普通の産院なら間違い無く帝王切開になっていたと思います。娘のもっていた運の強さでしょう。日浅産婦人科で産まれる事を娘が選んだかのように、私は自然出産で娘を産む事が出来ました。出産にかかった時間は20時間、今思えばあっという間でもう少しあの時間を楽しみたかったと思っています。

妊娠がわかった時、私は36歳、京都と大阪の県境に住み、職場から一番近い産院に行きました。そこで、「この年まで何しとったんや!!努力してみて無理やったら帝王切開やな」と言われましたが、私は妊娠した事が嬉しくて帝王切開になる事など気にもしていませんでした。
そして産休に入った34週。産後手伝いに来てくれるはずの母の都合が悪くなり、急に里帰り出産する事になりました。この時期に受け入れてくれる産院なんて無いですよ、と何度も言われました。
里帰り出産するのなら日浅産婦人科と決めていましたので、電話でお願いすると快く受け入れて下さいました。里帰り出産するのなら日浅産婦人科でと決めていたのは今治であった「アクティブ・バースセミナー」に参加した友人からの手紙でした。
「今治にこんなお医者さんがいるとは感激です」、「今治に住んでいるという事はめちゃラッキーです」と書いてありました。この手紙には本当に感謝しています。手紙をくれた友人も現在妊娠中、もうすぐ彼女の出産体験が聞けるのかと思うと楽しみでなりません!!

2月9日京都より帰省
2月10日37週、日浅産婦人科で初めての健診を受ける。今までかかっていた産院では2時間待って、5分の診察。「順調です」と言われるだけでしたが、ここではゆっくり時間をかけて診察してもらい、何よりびっくりした事は、先生が足のマッサージをしてくれた事です。体に触れるものは全て暖められている事にも感動しました。

もともと太りぎみの私の体重は、既にレッドゾーンを超えていました。軽度の中毒症とも診断され、食事制限・散歩2~3時間・週3回の安産コース・週2回のヨーガをするように指導されました。それまでの産院ではこういった指導はなく、あのまま里帰りしていなかった事を思うと本当に怖いです。

2月18日、38週早朝、出血がありそのまま入院。おなかの張りは全然無く、安産コース、お灸、階段の上り下り。
夜にはゆっくりアロマバスに入りました。その成果でしょうか、
12時頃からおなかが張りはじめ、眠れなくなり、7時になるのを待って看護師さんに言いました。

2月19日、午前と午後お風呂に入る。体を温めると気持ちが良かった。半身浴のため、看護師さんが肩からお湯をかけてくれてとにかく気持ちいい。うとうと寝てしまうくらい……。
「こんなに大事にしてもらえるのならずっと妊婦でいたいです」真剣にそう思い看護師さんに言いました!
陣痛のつらさも足の小指にしたお灸の熱さも忘れてしまいましたが、してもらった事の気持ち良さはよく覚えています。何時間も腰をマッサージしてくれた事、お尻の下に手を添えてくれた事、「重いでしょ?」と言っても「コツがあるから」と笑顔。ペットボトルにお湯を入れたものをお尻にあてておくのも気持ち良かった。

初診からわずか10日、健診を受けたのは2回。それでも看護師さんは家族のように私をいたわってくれました。その安心感からか、陣痛の合間には冗談が飛び交いお産をしている部屋とは思えない程笑い声が響いていました。(深夜だというのに……)

2月20日、深夜陣痛の間隔が短くなってきた頃、先生に「次の陣痛がきた時、どの姿勢で産むのか本能に呼びかけてみてください」と言われました。私は横向きに寝て、ベッドにつけられた紐を握り締めました。少しして看護師さんから会陰切開していい?と言われました。バースプランではしたくないと答えていましたが、ここまで待ってもらって切開の判断がでたのなら仕方がないと思いすぐ返事をしました。それからすぐでした。「頭が出たよ、体がでたよ……」の言葉と同時に太ももにぬるっとしたものがあたりました。3時21分でした。
産まれたばかりの娘はおなかにいる時のように手足をぎゅっーと縮めて私の胸にいました。
お産には夫と母が立会ってくれました。私は娘に「お父さんもおばあちゃんもいるよ」とそっと話しかけました。この2人がいなければこの生命には出会えなかったと深く深く感謝しました。

陣痛の間、母は手を握ってくれました。最後に母と手を繋いだのはいつだっただろう?思い出せない程遠い日だったと思います。母の手はあの頃と変わらずとても温かかった。母から私、私から娘へと生命をつなぐ事が出来嬉しかったです。少し親孝行出来たかな?

出産後疲れ果てぐったりすると思っていましたが、母が心配する程私は元気でした。会陰以外は、私には必要な医療介入でしたが、医療介入=痛み、という図式を体で感じました。

日浅先生はよく「自然のリズムに合った出産」と言われました。
私の出産は自然のリズムに合っていたようです。正確には看護師さんが導いてくれたのですが、お天気、潮の満ち干き……。

このお産から自然の力、産まれようとする力、産もうとする力がひとつになって、生命が誕生するという事を知りました。その時、私は地球の一部なんだという事を実感する事が出来たのです。不自然な生命の誕生は地球のリズムを狂わせるとさえ思います。

娘ももうすぐ1歳の誕生日を迎えます。これまで楽しい事ばかりではなく、おっぱいを噛まれたり夜泣きで何度ため息をついたことか。それでも毎日新しい表情を見せてくれる娘、今まさに「宝の時」です。じっくりと楽しみたいと思います!!

最後になりましたが、日浅先生、スタッフのみなさん、出産の際には大変お世話になりました。ありがとうございました。

先生が高い理想を掲げていてもスタッフ全員理想を追求するのは難しいと思っていましたが、日浅産婦人科のみなさんは違っていました。その事を看護師さんに話していると「この仕事が好きやけんねぇ」と言われ、胸が熱くなった事を今でもよく覚えています。
理想を追い求めるために大変な努力をされていると思いますが、1人でも多くの方が幸せな出産をされますようにこれからも頑張ってください。
 
これからお産される方、是非是非自然出産を!!
こんな私の声が誰かの勇気になってもらえれば幸いです。

母子手帳に先生が聖書の言葉を書いてくれました。
「私は心を尽くして主に感謝をささげ、驚くべき御業を全て語り伝えよう」 ―詩篇9編2節―

平成18年1月22日

←前のページに戻る