体験談

自然出産と非自然出産

N.R.

【妊娠歴】
1人目、2人目、3人目は他院にて陣痛促進剤を使用。
4人目 6月4日陣発入院。
       6月5日、病室のベッド上で側臥位分娩。
       3,535g 41週

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この病院で4人目をお産したNです。今回の出産は楽というか、「私が産んだ」という充実感がいっぱいの出産でした。

実は上の子3人は別の同じ病院で出産しました。その時は3人とも陣痛促進剤を使ってのお産でした。

促進剤というのは一応予定日が過ぎて、先生の方から促進剤を使いますと言われ、12日遅れで促進剤を使い、点滴と飲み薬、そして子宮口を開くために風船を入れ、それも1日というのではなく、2~3日かけて子宮口を無理やり開いて、つらい思いをしてやっと生まれました。

促進剤を使ってのお産というのは、つらい痛いというイメージしかなく、赤ちゃんが産まれても痛みとつらさで、“後で赤ちゃんを見ますから”という感じで感動はありませんでした。そして、今回4人目を妊娠して、妊娠の喜びよりまず、今回も促進剤を使って、またあのつらい思いをしないといけないという事ばかり頭にありました。
そんな時、7人の子供を産んだ友達が、その人は7人とも違う病院で出産したんですけど、その人が“今まで色んなところで産んだけど、この病院が一番自然に産ませてくれるよ、行ってみたら”と薦めてくれました。
慣れた病院を変わるのは勇気がいりましたが、変わってきて、私は促進剤を使わず普通のお産をしてみたい、と私が先生に言ったら、先生は“大丈夫、陣痛は自然にくるから、気長に待ちましょう”と。言われました。ああ……ここだったら自然の陣痛がくるかもしれない、と思いました。
ここでは、安産コースを教えてもらい、家でも簡単に出来て、3日坊主でめんどうくさがり屋の私でも、思いついた時に、ちょこちょこしゃがみ込みをしたり、股関節を開く運動が出来ました。散歩は上の子と同じくらい歩いたので、特別な事と言えば、ここで習った安産コースをやった事ぐらいです。

そうこうしている間に予定日を過ぎてしまい、やっぱり促進剤を使わないとだめかと思っていたら、先生は“大丈夫、大丈夫”と言われました。しかし、今までそう言われた事がなくて、最初から促進剤がないとだめだから、と言われ続けられました。そうしたら、“あれ?”っていう感じで同じ12日過ぎた日に陣痛がきて、それも初めは陣痛というのがわからなかったくらい軽いものでした。5分おきに腰が痛くなったので、病院に電話すると、“来てください”と言われました。

今までの3人も夜に痛くなり、出産しました。この時は先生がとてもしんどそうで、産むのが、嫌だなあ、申し訳ないなー、という気がしました。
しかし、ここでは、先生はニコニコしながら“おーついに来たか!”と言ってくれました。“えー、夜でも産んでいいのか?”という感じがしました。
そして、何でこんなに違うのだろうか、と思いました。
診察すると、“赤ちゃんがまだ下がっていないね。まー、風呂にでも入ってみますか”と言われました。陣痛が5分おきにきていたんだけど、風呂に入っただけで産まれるのか、と思いました。看護師さんが“風呂に入ったらリラックスしたり、体が暖まると子宮口も開きやすくなるよ”とひとつひとつ説明してくれるので、“あーそうか。こういう理由があるのか”と思いました。

今までのところは、“これを飲みなさい”“この注射をします”と言うだけでした。しかし、ここではひとつひとつ説明してくれて、納得出来ました。そして、いざ出産と言う時、前の病院ではいつも夜だったので、“ちょっと待って!”、“まだいきんじゃだめ!”“先生が来ていないからだめ!”自分でも赤ちゃんが出てきているのがわかるのに、そう言われました。それは先生中心のお産で、まるで私の事は二の次三の次のように思われました。

でもここでは、看護師さんが“大丈夫、いきみたい時、最後にウーンといきみなさい”と言われ、ギリギリまで我慢していきみました。すると、何かズルズルと産まれてきました。あれ、自然の分娩って、こんなに楽なのか、今までの3人のお産は何だったのだろう、と思いました。
また、“腰が痛い!”と言うと、前の病院では“みんな痛い思いをして産みよんじゃけん、あんただけが痛いわけじゃない!”“腰?陣痛は腹にくるもんだから、腰が痛いわけがない!”と言われました。

ここでは、“すみません、腰が痛いんですけど……”と言うと、“うーん、痛いよね、腰にくる人もいるからね”と言い、ずっと腰をさすってくれました。その言葉だけで、痛みが和らいだ気がしました。私の言う事を否定するのではなく、丸く受け止めてくれたのです。

私はすごく痛みに対して敏感で、入院した最初の診察で、分娩台にあがるだけで足が震えていたのを看護師さんが全部見て気がついていたのでしょう、そろそろ分娩室へ行こうかという時、“Nさん、緊張するみたいだからここで産もうか”と言ってくれ、結局病室で産みました。ベッドが汚れ、申し訳ないと思ったけれど、そんな事気にしなくていい、楽なところで産んだらいいよ、と言ってくれました。

でも今まで、痛みに耐えながら分娩台によじのぼって、仰向けで一生懸命いきんでいたので、好きな体位で生んでいいよ、と言われても分娩台以外で生んだ事が無かったので、わからなかった。でも、横になって陣痛を逃し、そのまま看護師さんが、ひょいと足を持ち上げると、ズルズルと赤ちゃんが出てきました。
“さー、産むぞ!”という分娩台の勢いではなく、陣痛からそのままスルッと赤ちゃんが出てくる感じ。あ、鶏ってこんな感じで簡単に卵を産んでいるんだ、と思ったくらい。で、促進剤を使った時とは比べものにならないくらい今回は自然で、“私がこの子を産んだ”という思いが強かった。
私が今までの3人で、病院で言われるがまま、何もわからず、ただ陣痛がきた、先生が来た、さあ産もうか、と言うのではなく、今回は私と赤ちゃんが中心のお産で、自分の体に合わせてここではやってくれました。それがすごく嬉しかったです。

産んですぐ友達に電話をかけまくりました。簡単だったよ、すごく楽だったよ、と言うと、そんなに簡単に産まれるんだったら、もっと早く変われば良かったのに、と言われました。
子供は3,535gと大きめでしかが、今までのお産とは比べものにならないくらい、出産も心も超安産だったのは、この病院と、この病院を紹介してくれた友人のお蔭と、感謝しています。

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