体験談

非自然出産と自然出産との違い

N.T.

師長: 今回の体験談は当院で2人目をお産された方にお願いしています。1人目は他院でお産され、今回は当院の自然出産でお産されましたので、そのあたりの違いをおきかせ頂けたらと思います。では、まず、自己紹介と当院を選ばれた理由からお願いします。

Nさん: Nと申します。こちらにお世話になったきっかけは、9ヶ月でも逆子が直らなくて自分の姉に相談したところ、姉がインターネットで調べ、こちらのホームページを見て逆子を直してもらえるかもしれない、こちらではこだわりのある出産方法をしているという事で一度行ってみてはどうかと勧められて来ました。

師長: 実は、Nさんは里帰りで、里帰りする前に逆子だと言われていました。逆子の場合は、帝王切開。最近では2人目でも帝王切開をする施設も多いようですが、Nさんもそのような話があったのですか?

Nさん: はい。第一子の時も逆子になってしまって、それは直ったのですが、前回も今回も、子宮口がなかなか開かない、軟産道強靱で子宮口が硬いという事で、今日の夕方までに産まれなければ、切りますと言われたその日の昼に、急にいきみたい感じがして無事に経膣分娩が出来ました。

師長: 1人目のお産の様子をもう少し詳しくおききしてもいいですか?

Nさん: はい。

師長: 1人目も里帰りでこちらに帰ってお産されたようですが、その時も9ヶ月までは向こうの病院で健診を受けられたと思いますが、初めての妊娠出産となると、妊娠経過もわからないだろうし、どんな生活をしたら良いのかもわからないと思いますが、安産のために具体的に指導はありましたか?

Nさん: とにかく、上げ膳据え膳にならないように動いてくださいという事と、よく歩いて下さいという事は言われました。

師長: 実際はどうでしたか?

Nさん: そうですね、歩いたと言っても1時間くらいでなかなか続かなくて、1人でただ黙々と歩くというのはあまり出来ませんでした。

師長: そういうような生活をされて、こちらに帰られ、もう予定日まで1ヶ月というところで、どんな指導があって、どうされましたか?

Nさん: 結局同じ事と、ちょっと体重も増やし過ぎてしまって、足にも浮腫みが出てしまったので、塩分は控えてくださいと言われました。

師長: では具体的に当院でお願いしているようなスクワット、しゃがみ込みのような指導は無かったのですね。

Nさん: はい。それはありませんでした。ただ動きなさいという事でした。

師長: 前回は予定日を過ぎてお産されたようですが、実際はどのくらい遅れたのですか?

Nさん: 15日遅れました。

師長: 予定日を過ぎた頃からソワソワしませんでしたか?

Nさん: 直接私には言わないですけと、親は、まだ?とか姉妹や周りからきかれていたようです。

師長: 病院からは、予定日近くなって、また過ぎてからは、こんな事したら良いよ、とか追加の指導はありましたか?

Nさん: そうですね、同じ話の繰り返しで、歩く事とこれ以上体重を増やさないでください、と言う事でした。

師長: 予定日過ぎて、何日くらいで入院になったのですか?

Nさん: 予定日が6月13日だったのですが、26日の午前中に入院して実際産まれたのが28日のお昼だったんです。

師長: 予定日過ぎて、健診というのは1週間おきだったんですか?

Nさん: そうです。予定日過ぎて2回目の健診で入院を勧められました。

師長: では、予定日を過ぎたので誘発しましょう、という事で入院したのですか?

Nさん: その時、血液検査で胎盤の機能が落ちているからという事で、「もう出します。これから入院して下さい」と言われました。
その前の健診の時に、次回はこんな検査をして、こうなら入院という事を言われていましたので。

師長: 入院して、実際どんな処置をしたのか覚えていますか。

Nさん: 覚えている範囲では、陣痛を促進する錠剤と注射と点滴をして、あと風船を使って子宮口をこじ開けるというのを3回しました。もう拷問のようにつらかったです。

師長: それはしんどかったですね。先程、Nさんの口から子宮口が硬かったというのがありましたが、やはり硬いところを無理矢理こじ開けるというのはすごくつらいんですね。自然出産を唱えているところでは、そういう風なまだ体の準備が出来ていないところで、そういうふうな処置はしません。赤ちゃんが元気でいる限り、あくまでも自然のリズムでお母さんの体の準備が出来るのを待ちます。そして、ただ待つのではなく成熟が促されるような指導をしたり、処置をしたりする、というのがまず大事だと思います。

今回も当院に来られて、まず先生から硬い、と同じように成熟が遅れていて硬いと言われたようですが、先生からは安産のために今回はどんな事をしなさい、と言われましたか?

Nさん: マタニティー・ヨーガやしゃがみ込み・安産コース、それとよく歩く事を言われました。

師長: 2人目の今回、自分で特に違った事、一生懸命やった事はありますか?

Nさん: 待合室にある体験談のファイルを見ていたら、1日3時間歩いていたとか、具体的な数字が出ているのが大きな違いでした。それでやってみようと思いました。3時間とまではいかなかったですが、1日合計で2時間半くらいは歩いていました。

師長: では1人目の時は歩きなさいと言われていても、具体的に何時間とか、どういう風に歩いたら良いよという助言はなかったんですね。

Nさん: 第一子は夏場という事もあって、暑いのを言い訳にしてました。でも今回は、朝は上の子が寝ている間の早朝に起きて歩きましたし、昼と夕方は上の子をベビーカーに乗せて色んなところへ歩いて行きました。

師長: 今回は、よく雑誌とかでお灸やマッサージとかが紹介されていますが、足のツボで産道を軟らかくしてくれるツボ、安産のツボがありますが、Nさんにも早くからお灸とかもして頂いたのですが、それはどうでしたか?

Nさん: こちらで診察の時に、先生と看護師の方が毎回足のふくらはぎのツボをマッサージしてくれるのですが、それを何となく場所を覚えておいて、自分でも家でお灸を据えるようにしていました。最初はあまり効かなかったのですが、何日もやっていると、効くようになって、出産予定日を過ぎてからは加えて、足の小指のツボを母に指圧をしてもらっていました。指圧をする度におなかの子が動くのが良くわかりました。小指の指圧してもらったのが25日だったんですが、26日におしるしがあって、すごく効果があったと思います。

師長: 自然出産の場合、体の準備を整えるというのが大事になってくるんですが、このような指圧とか、足首をマッサージすると骨盤の循環が良くなって、お産の準備が整いやすくなるというのもありますが、前の病院ではどうでしたか?

Nさん: いえ、今回ここで初めて教えてもらいました。

師長: お産に関しては、もう超が付くくらい安産でした。前回と全く違ったと思いますが、簡単に流れを言いますと、27日に予定日を1週間過ぎたという事で様子を見させて頂くために入院して頂いてきました。28日の朝の10時ではまだ子宮口は全然開いてなかったのですが、7~8分おきの陣痛が始まったようです。当院では陣痛が始まったら、まず、精神的な緊張をとる、体を緩めるために、お風呂に入る事を勧めます。上の子供さんの時は、処置に入る前に何かリラックスのためにしましたか?

Nさん: いえ、26日の朝これから入院しますという時点から、もう薬と注射とを断続的に繰り返していきました。時間がきたら、これを飲んでください、次は診察台へ、と言う感じでした。

師長: そういう時は、精神的にはどうでしたか?自分の気持ちの中で初めての経験だったと思いますが、何がこれから起こるんだろうとか、心配は無かったですか?

Nさん: 最初は全く薬が効かなかったんです。だから余裕で写真とか撮っていました。陣痛が始まった翌日の途中からもう耐え難い程、陣痛の波がずっと押し寄せてきて、みっともないくらい主人の前でもだえ苦しみました。

師長: では、どんどん陣痛が来始めて、それを和らげるような指導とか処置は無かったのですか?

Nさん: 無かったです。

師長: つまり、自然のリズムに合う手当てをしてもらえなかったわけですが、ある程度陣痛があって、お風呂に入ったのはどうでしたか?

Nさん: ちょっと意外な気がしました。子宮開口に良い、リラックスするという事で入ったのですが、アロマの香りもして、気持ち良かったです。あまり、長風呂は好きではないのですが、浸かる事が出来ました。

師長: お風呂の中でも痛み具合というのはどうでしたか?

Nさん: 不思議とあまり感じなかったのですが、お風呂からあがると重力が戻るのか、しばらくしてまた痛くなりました。

師長: お風呂に入ると浮力のためか、陣痛が弱くなる方が多いようです。また温まる事によって、靱帯や脂肪や筋肉が軟らかくなってくるから、赤ちゃんが下がりやすくなってくる、お産が進むというメリットがあるので、当院ではお風呂を多用しています。そして、気持ち良くて、ここから動きたくないという人が、水中分娩になるんです。

Nさんは昼間のこのようにお風呂に入ったり、安産コースに行ったりして、あまり強い痛みにはならずに夜になり、このまま眠れますというという事でお灸だけして、休んでもらったんですが、日付が変わって3時過ぎに急に痛みがきたんですよね。

Nさん: 寝る前に主人と母が足の至陰というツボを押していたんです。

そしたら、夜中突然3時半くらいになんかドバッと出た感覚があって、汚い話、前の日便秘だったので下剤を頂いていて、そそうをしたと勘違いをしたんですが、破水でした。自分では全く見えないし、それから、30分足らずで生む事が出来ました。

師長: その破水するまでは、そう痛みも無くという事だったんですよね。

Nさん: はい。

師長: まあ経産婦さんは破水すると、お産が進む方が多いのですが、それでも、30分、陣痛の回数からしても数えるくらいで、前回を考えるとすごく早かったですね。ご主人の指圧が効いたのかもしれないですね。この至陰というツボは軟産道強靱に効果があるというツボで産道を軟らかくしてくれます。お産がなかなか進まない時はこのツボを刺激して良い結果をもたらしてくれたケースも多々あります。みなさんもしっかり刺激してみてくださいね。

今回お部屋で移動する事なくフリースタイルでお産されたわけですが、分娩台でのお産との違いはどうでしょう?

Nさん: 分娩台の周りの景色というか、寒々しい感じで緊張感がありました。今回部屋で、そんな事出来るのかと思って、自分でも不安だったのですが、付いてくださった先生やスタッフの方の指示通りにして本当に産まれたので驚きました。今回は自分でも出来たという達成感があって、前回は向こうの先生に出してもらったという感覚でしかなかったので、今回は自分でもやったら出来るんだという思いがありました。

師長: 自信がつきますよね。それと達成感。また、1人目そういうお産をすると産後もしんどかったりするんですが、どうでしたか?

Nさん: そうですね、前回は体がしんどかったのと、あまりの出来事に子供の顔を見るのもつらくて、看護師さんに預けっぱなしで、2日目になって、ちょっとひんしゅくをかって母子同室で連れてきたという有様でした。今回は、自分もやったら出来た、自分も頑張れたという思いから、自分の体が許す限り、とにかく一緒にいたいという思いでいっぱいで、ほとんど一緒にいます。

師長: ほんと、お産が終わって元気ですよね。

Nさん: はい、お陰様で。

師長: ご主人は前回は立ち会いされたんですか

Nさん: 前回、分娩室には母が入ってきて、実況中継してました。

師長: では今回初めてだったんですね。良かったですね。感想は何か言われてましたか?

Nさん: とにかく、傍にいてくれたのが嬉しかったです。「よく頑張ってくれたね」と言ってくれました。手を握っていてくれる事がすごく安心出来たし、独りじゃないっていう心強さがあって嬉しかったです。

師長: ご主人さんも協力出来たという喜びがあるでしょうね。
最後に、今日は初産婦さんも多くいらっしゃいますが、これからお産するにあたって、アドバイスをお願いしたいのですが。

Nさん: 先生の指導の通り、安産コースやしゃがみ込み、マタニティー・ヨーガをやったら、絶対に違っていたと思います。前回は産婦人科はどこでも同じだと思い、家に近いからという理由で選んでしまいました。でも病院が違うだけでお産もこんなに違うなんて思いもしませんでした。出産というと、テレビとか映画で見るような、分娩台でするものという思い込みがあったと思いますし、それが思い込みだと認識すらしてなかったと思います。実際こういう方法があるんだという事を、実際経験させてもらって、すごく自分の中で貴重な体験になりました。分娩台でのお産と比べると、断然こちらの方が良かったです。

師長: そう言って頂けると本当に嬉しく思います。今は、色んなお産があって、でもそれを調べるすべというか、知るすべがあるというのを知らない人が多いようです。だから、初めての方、またこれから出産を考えようという方は、こういうお産もあるというのを知った上でお産の選択肢を広げ、病院選びをして頂くと良いのではないかと思います。 

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