体験談

前回は分娩台に5時間乗らされた

C.K.

師長: 今回は2人目を出産された、当院では初めての方です。まず1人目のお産からお話をおききしたいのですが、妊娠中はどのような経過でどのような指導があったか、お産はどうであったか、お話して頂けますか?

Cさん: 私は今治に住んでいたのですが、出産は松山の病院でした。そのため母親学級に参加出来なかったのもあるのですが、妊娠中の生活などは特に指導とかは受けていなくて、仕事もしていたのであまり散歩もしていませんでした。先生からも散歩などの指導も無かったので、もう受身の妊婦生活だったような感じでした。

お産は39週に破水で入院しました。陣痛が弱くて2日以内に出さないと赤ちゃんが危ないから、陣痛促進のお薬をまず1日目に飲んで風船も入れたのですがその日は産まれなくて、翌日の朝から点滴をしましょうという事で、分娩台にあがって促進剤の点滴を朝の7時から始め、会陰切開をして12時過ぎに吸引分娩で産まれました。というよりは出してもらったという感じです。

師長: では分娩台で5時間いたという事ですか?

Cさん: はい。

師長: 何cm開いてから促進剤を使ったのですか?

Cさん: 前の日には5cmは開いていました。

師長: 5cm開いてその夜はどうでしたか?

Cさん: 痛くて眠れなかったです。

師長: では朝になっても陣痛が微弱で産まれないからという事で点滴を開始したという事ですか?

Cさん: はい、多分それ以上開かなかったのだと思います。

師長: 夜間、何分おきの陣痛でしたか?

Cさん: そんなに度々ではなくて、朝方になってから少し楽になっていました。

師長: 入院して、飲み薬を飲んだり、風船を入れたり医療的な処置をしましたよね。ではその他に陣痛を促すために動いたりしたら良いよ、とか、陣痛の時はこうしたら良いよ、とかお産自体の助言はありましたか?

Cさん: 馬のような形のイスがあったので、それを持ってきてくれました。

師長: アクティブチェアーね。運動の指導は無かったんですね。飲み薬だから、まだ自由に動き回れますよね。それで入院1日目はどのように過ごしていたんですか?

Cさん: でもその病院では個室ではなかったので、隣の患者さんに気をつかって動き回れなくて、アクティブチェアーに座ったり、ベッド上で主人に腰を擦ってもらったりしていました。

師長: 陣痛室ではなくて、2人部屋だったんですか?

Cさん: はい、そこから分娩室に行って出産という感じでした。

師長: 分娩室に入って、分娩台にあがってからは動けたんですか?

Cさん: 動けませんでした。足をブラブラさせたら「ここは清潔区域」って怒られたりしたので、片方の手は点滴して、もう片方は持つところがあって、両方の足は乗せるところがあってそのままの状態です。

師長: それはしんどかったですね。

Cさん: しんどかったです。腰も痛いし、陣痛も痛いし、いきむ力も最後にはなくなっていました。

師長: 1人目お産した直後というのは、破水して陣痛促進剤を使ったという事に対してどんな感想をもちましたか?

Cさん: お産ってこんなものだったんだと思っていました。

院長: 破水して、やばいから点滴しようと言われれば、しょうがない、諦めますよね。

Cさん: 赤ちゃんの顔の向きが悪かったので、それで陣痛が微弱なのかなあって先生が言われて、頑張って下から出して、だめなら帝王切開ですと言われていたんです。だから仕方ないかなって思っていました。

院長: 破水から始まれば当然感染の事を考えないといけません。でも、破水から始まってもスムーズにお産が進むよう、まず妊娠中から安産指導を受けておかないといけません。まずはそこです。貴女の場合、2,600gで小さかったから産まれましたけど。それと、5時間も分娩台にあげるのはおかしい。分娩台はせいぜい産まれる10~20分前くらいです。あれはお産をさせるところであって、お産を管理する場所ではない。だから時間がかかりそうなら一度降ろすべきです。でもそんな事素人にはわからないですし、自然出産がなされていないからそのような現象が起こっているのです。

師長: 今回当院でお産しようと思ったのはどうしてですか?

Cさん: 今回は上の子の幼稚園があるので、今治で出産したいなと思って、ここが一番近かったのでお世話になりました。ここに来て、初めてアクティブ・バースという言葉を知りました。

師長: アクティブ・バース、フリースタイルという事をきいてどう思われましたか?

Cさん: 最初の子供の時は、自分は受身のお産だったと思います。

師長: 最初の時は特に、普通に妊娠して、病院にかかって診てもらって、普通に産めると思いますよね。

Cさん: はい、自分は何もしなくても産ましてくれると思っていました。

師長: そう思っている方は多いと思いますが、それはお産というものに対し医療者側からの情報公開がほとんどなされていない事が最大の原因であろうと思います。それで初産婦さんは何がわからないのか、それがまずわからない。先生から順調です、と言われれば、もう普通に安産出来ると思うと思います。でも順調と安産とは違います。順調というのは、妊娠経過に医学的問題が無く、赤ちゃんが異常なく育ってますよ、という事で、安産とは関係ないのです。ですから安産するためには、それぞれにあった安産指導が必要なのです。

先程、1人目の時赤ちゃんの回旋が悪かったと言われましたが、当院でも回旋異常の方はいます。赤ちゃんが回れなければ、お母さんがゴロゴロと体の向きを自由に変えるとそれで赤ちゃんが回る事があります。それがフリースタイルの良いところなんです。しかし、Cさんのように、5時間も分娩台の上で同じ体位のままではそれが困難になります。

極端な話、当院でもなかなか回旋が直らないので、分娩室で処置しようという事で、分娩室まで歩いて頂いたら回旋異常が直ったという事があります。だから微弱陣痛が続くとか、分娩が停止した場合はじっと同じ姿勢をとるのではなく、思い切って色々体を動かしたり、入浴したりするのが良いのです。それが自然出産のひとつの主張です。

院長: 当院でも回旋異常は少なくなりました。ゼロでは無いけれど、発生頻度は3分の1くらいになりました。それで機械的頻度も低くなるんです。難産も少なくなり、外陰の傷の程度も軽くなるわけです。

師長: それと、前回、他の患者さんがいて気兼ねしたと言われましたが、そのような緊張感や不安というのが微弱陣痛を引き起こす事があります。極力リラックス出来る環境を作るというのもお産には大切な事です。部屋を暗くするのもひとつの方法です。

今回の出産はすごく経過が早くて、前回と同様、破水から始まったわけですが、6月30日の深夜に来られて、この時は子宮口は2,5cmくらい開いていましたが、痛みはどうでしたか?

Cさん: それが急で、車の中では普通に話せていたんですが、病院に着いて降りたら痛くて、でも波がきていない時は大丈夫で、間隔もまだ5分くらいはありました。

師長: 破水していて、まだ2.5cmしか開いていないという事で、まず感染予防のために抗生物質の点滴をしました。それから1時間くらいで本格的な痛みになり、入院してわずか3時間弱で2,940g、前回より少し大きかったのですが、外陰の傷も無く産まれました。

痛みが強くなって、色々な体位をとりましたが、この体位が楽とか、しんどいとか、またこうしたい、とか感じましたか?

Cさん: 最初、側臥位がすごく痛くて、イスに座ったら楽だったので、しばらくイスで過ごしていたんですが、そのうちいきみたい気がして、横になってみようと思って横になると、その方が楽でした。

院長: お産の進行とともに状況が変わってくるんですね。

Cさん: 最終的にはベッドで横になって足を少し上に上げて産みました。

師長: Cさんのように、赤ちゃんの下り具合や子宮口の開き具合によって、痛い場所や楽な体位というのが変わってきます。だからみなさんもそれによって体位を変えて頂ければと思います。

今回も前回同様、ご主人が立ち会われましたが、何か言われてましたか?

Cさん: 驚いてました。こっちの方が本当や、て。

前は強引に赤ちゃんを出したような印象を受けて、でもこれが普通だと主人も思っていたようですが、主人も人の話をきいたり、私の今回のお産を見て、出されたというのではなく、自分で赤ちゃんを出すのが本当のお産だと言っていました。

院長: つまり、自然出産と非自然出産の違いですね。

師長: 分娩台でのお産になると、ご主人からすると頭の方にいて、どうしても第三者的に見てしまうんですね。

Cさん: はい。

師長: 先生が前にいて、スタッフがいて、器械も沢山あってという環境ではご主人が一歩引いてしまうようです。でも今回はすぐ傍にいて、ジュースとか飲まして頂きながら、自然な流れの中でお産が進んでいったので、ご主人も自分もお産に参加したと感じられたのではないかと思います。

話が少し戻りますが、経産婦さんとはいえ、今回は年齢的な事と、前回の出産か6年あいているという事で、妊娠中の安産指導があったと思いますが、具体的に先生からどのように指導があり、どのようにしていましたか?

Cさん: スクワットが最終的に580回と、散歩を2時間以上、よくしました。

院長: 前回はそれが無かったよね。

Cさん: ありませんでした。スクワットは最初に聞いた時、えっ!て思いました。

師長: スクワットする事で、骨盤の出口を柔らかくしてくれる働きがあります。だから、破水していても、骨盤の出口が開いて柔らかくなっていると促進剤を使わなくても陣痛を待って産まれる事がほとんどなんですね。でも、本来安産体操が必要な人が何もしていないと、産道が硬いから、陣痛がきてもなかなか進まない、微弱陣痛が続くわけです。だから、1人目からしっかり安産指導があればもっと良かったかなと思います。

最後に、分娩台でのお産とフリースタイルの違いについて何か感じた事はありますか?またこれからお産する方にアドバイスをお願いします。

Cさん: 分娩台はもうお医者さんの言われるまま、フリースタイルは自由に自分が楽になる方法を探していける、痛いのは両方痛いけど、フリースタイルの方が、痛ければ、痛いって叫ぶ事が出来るという雰囲気があって良かった。

これからお産する方には、先生が言われるように運動はしていた方が楽なお産になり易いと思います。陣痛がきたら本当にすごく痛いんですが、みんな耐えられる力をもっていると思うので、思いきり叫んでいいと思うので、自由に自分の楽な体位を探して欲しいと思います。

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