体験談

2回の吸引分娩と過期産

M.R.

Mさん: 6月に出産しました。今回は3人目で、1人目は今治市内の別の個人病院で、その時は分娩台での出産でした。赤ちゃんの心拍が落ちたからと言う事で、吸引分娩になりました。
2人目は、1人目の時がすごくつらくて、でも2人目は里帰りする事になっていたので、同じ所で健診を受けて、里帰りして総合病院で同じように分娩台での出産でした。そちらでも心拍が落ちてしまって、同じような吸引分娩になりました。
今回、友達がこちらで出産して、すごく気持ちいい出産だったという感想を聞いて、私には聞いた時にはよくわからなかったのですが、そんなに気持ちいいなら、3人目は是非こちらの日浅産婦人科でという事で、ここを選びました。

師長: 1人目のお産から伺いたいのですが、1人目のお産となるとしんどい事が沢山あったと思うのですが、お産にむけて妊娠中、こんな事をしょう、というのが何かありましたか?

Mさん: 自分で、散歩はよく行っていたのですが、仕事もしていたので、こちらのようにヨーガとか、何か病院でこれをしてあれをしてというような指導は全く無くて、「順調ですよ」と言われるだけでした。
こういう母親学級のような場所でも、先生から大事にした方が良いですよとか、しんどい時はゆっくり休んでいなさいと言うような感じでした。それをそのまま真に受けて、散歩は行くけど後はあまりしてなかったです。

師長: 1人目、分娩台のお産と言われましたが、分娩台でのお産で何が一番つらかったですか?

Mさん: まずつらかったのが、陣痛が始まった時、町の母親学級では色々な体位で陣痛を乗り切っていいんですと言われたけど、その時にはパニックになって教科書で覚えた事なので、実際病院に入った時には、周りの主人とかお母さんとかが痛いのなら寝とけと言われました。寝たままの状態が結構つらかったので、陣痛が進むにつれて、陣痛室に運ばれたのですが、黒い硬いベッドの上で、NSTっていう検査でベルトを巻かれて仰向けに寝かされ、陣痛をそこで一時我慢していたのですが、それが私には苦痛でした。途中で意識が無くなりそうで呼吸困難となり、看護師さんがナイロン袋を口に当てて、周りの声は聞こえるんですが、目がどこかに飛んで行ったようでした。でも、この人、目があっちに行っているからと言って、酸素ボンベを持ってこられました。
その陣痛室も分娩台に痛い時にあがる事も苦痛でした。身長が低いので、サイズが合わないのか、もう少し前へと言われても、手の持つところと足を置くところが合わなくて、自分では苦痛でした。

師長: 先程、町の母親学級で、陣痛の時の過ごし方で色々なパターン習ったとおっしゃいましたが。

Mさん: あの~普通にこういう感じで……と習ったと思うんだけど、いざ陣痛がくると、すっかり忘れてしまって。

師長: 伯方町の?すごいですね!

Mさん: 記憶によると、4~5年前だったと思うのですが。

師長: 伯方町では、そういうの習ったけど、実際に病院に入ったら、全く助言もなく、寝たままですか。 そのようなお産にとって重要な部分の指導が病院でなされていないというのもおかしな話ですね。

Mさん: そう、寝たまま何も指導らしきものはありませんでした。

師長: 今、Mさんが言われたように、分娩台っていうのはだいたいサイズが決まっているんです。大きい人が乗っても、小さい人が乗っても、同じところを持って同じところに足を乗せます。やはり自分の体に合えば、また違ったと思うのですが、それになかなか合わす事が出来ないですね。
実際、分娩台にあがった事のある方はわかると思うのですが。で、2人目、里帰りで違う病院でお産されたんですね。また、そこも同じようなお産だったのですね。

Mさん: そこは、総合病院なので、大部屋が陣痛室で、入院したのが土曜日だったので、スタッフが少なかったのか、看護師さんも、最初は浣腸したり剃毛したりとか処置の後、ここで休んでと言われてからは、ほとんど来てくれなくて、妊婦さん同士で「大丈夫?」とか言ってました。部屋の中にイスが1個あったんですが、それってどうやって使ったらいいんだろうというぐらいで。それも使う事もありませんでした。
でも1つ、前よりは勉強したのは、寝るのは私には苦痛だったので、2人目の時は母の肩にすがった状態で陣痛を乗り越えたという感じでした。たまらなくなって、インターホンで「来てください」って言ったら、ほとんど全開で、そのまま車イスでガ~っと分娩台に運ばれたっていう感じです。
実際、分娩室に入る時も、最初の子の時の吸引器というのが目にはいり、前回の会陰切開と吸引分娩による大きな傷であった恐怖が甦り、恐ろしくてその時点ですごく緊張していました。また吸引になったら、という恐ろしさと痛さで、緊張して分娩台にあがる時に目では、吸引の器械を探している自分がいて、ここで言うリラックス状態では絶対無かったという感じです。

師長: 1人目、2人目、2回共心音が下がって吸引とおっしゃいましたが、どの時点で、心音が下がったか覚えてますか?分娩台にあがってからですか?

Mさん: そうですね。

師長: それとも、お部屋にいて、心音が下がって、分娩室に行ったの?

Mさん: ではないですね。分娩台にあがって、いきんでからですね。

師長: お友達から、「当院でのお産が気持ち良かった……」ときいたと、言われてましたけど、当院ではフリースタイルをしているというのを、きかれましたか?

Mさん: はい、ききました。

師長: それをきいて、どんな形でお産するかわかりましたか?

Mさん: 私は、分娩台でしか経験が無いので、どんな形と言われてもどうするのかな?と疑問がありました。

師長: 今回のお産は3人目だったのですが、予定日より少し遅れて、結局1週間遅れの41週でのお産になりました。時間から言いますと、陣痛が始まって入院して頂いて、その時に4cmぐらい開いていたのですが、当院では、破水してない限りは、お風呂に入って頂いたり、お風呂がだめだったら、足浴したりとかしていますが、Mさんの場合は、どうされましたか?

Mさん: 何cm開大か見てもらった後に、お風呂に入らせてもらいました。

師長: 前回は無かったですか?

Mさん: そう、自宅でシャワーを浴びて。

師長: 痛みがき始めてから、お風呂に入るというのは、どうでしたか?怖かった?色々な人の話を聞いていたと思うのですが。

Mさん: 楽しみっていうか、入ると痛みが和らぐときいていたので、入ったら確かに痛みはくるけど、気持ち良くてお風呂に入っているというのが気持ち良くて、アロマのラベンダーの匂いを嗅ぎながら入っていました。

師長: 経産婦さんの場合、お風呂に入ると進みが速くなり、Mさんの場合、来てから2~3時間で全開になっています。それから、少し時間がかかりまして、その時間というのは、一番最後に言いますけど、全開になってから、当院では寝ているだけではなく、色々な形、四つん這いとか側臥位になったと思うのですが、それはどうでしたか?

Mさん: 途中で、陣痛以外に腰の痛みがあったのですが、寝ている体勢はあまり陣痛がこないと言われたので、確かに自分でもそれを感じていました。痛い痛いと叫びながら、大きいクッションにうつ伏せにもたれかかったりとか、またイスを置いてもらって、骨盤を開いて腰をもむとか、色々試しました。

師長: その試している中で、自分はこの体勢が楽だったとか、これはちょっとしんどかったとかありますか?

Mさん: うつ伏せになっている時、陣痛がきたら自然に自分が立ち上がったので、自分はこれが良いのかなと思ったけど、痛みが結構あったのでうまく出来ませんでした。おなかがすごく大きかったので、反省したのですが妊婦の時も反らして歩く癖がつき、陣痛の時も、骨盤の傾斜運動のような状態といわれて、そうだそうだと、主人も背中を押さえてくれました。

師長: 丸くなるようにしたんですよね。そういう風に過ごして頂きながら、結局全開になってから7時間。なんでそれだけかかったかと言うと、さっき本人さんも言われてたように赤ちゃんが大きかったんですね。今、抱っこしてもらっている赤ちゃんがそうなんですけれども、4,120g。Mさんのこの体型からすると、4,120gもの赤ちゃんはちょっとしんどかったじゃないかなあと思います。結果的には、3人目もなかなか出ないという事で、お母さんも疲れてきましたので、吸引分娩にはなったのですが。
前2回は長時間分娩台で仰向けになって心音が下がって吸引分娩。

Mさん: 今回は赤ちゃんは元気で、私の体力がなくなりました。

師長: 分娩室に移動するのは、しんどかった?

Mさん: そうでもなかった。陣痛の間も歩いていたので。分娩室に行くのはそれ程苦痛はありませんでした。

師長: フリースタイルは、好きなところで好きな格好でというのですが、お部屋でのお産も出来ます。特別、吸引分娩とか鉗子分娩とかいう以外はそのままお部屋の方でお産して頂いていますので、動かなくていいです。
頭がすぐそこまで出ているだけど、なかなか産まれない、早く産む必要のある時は、お部屋で吸引する事もあります。後、もう1点、吸引分娩となると、器械的な処置ですから分娩台でと思われるかも知れないけど、そのような処置の場合も分娩台は使わず、当院では少し高めのマットの上でしています。Mさんも分娩台にあがらなかったのですね。分娩台と、そうでないのといきむ時はどうですか?感覚的に。

さん: 分娩台にあがると、今振り返れば、病人になったような感じで、何をどうされているかわからないし、最初の子の時なども、器具をつけられたりしたので痛みをあまり覚えてないけど、今回フリースタイル体験して、結局最後は吸引してもらったけど、しっかり今頭が出て、ちょっと大きかったので、もう一度いきんで、肩が出てきたというのが、自分でも感じとれて、そのまま抱っこさせてもらったのも、すごく感動しました。

師長: ご主人も、今回立会いされたと思うのですが、上の子供さんの時はどうでした?

Mさん: していません。

師長: 今回、初めて?

Mさん: 主人は、嫌って感じだったのですが、今回は引きずり込んで。

師長: どんなかったですか?ご主人は何か感想は言われていましたか?

Mさん: あまりそういうのを、言うタイプではないけど、行動がすごく違って、協力的になってくれて、もうべたべたなんで、違ったんだろうなと思います。

師長: お部屋の時から、ずっといらっしゃったんですね。

Mさん: はい。

師長: ご主人さん、この中にも1人いらっしゃいますね。中には、立会いをどうしようかなと思うご主人もいらっしゃると思うのですが、感想として立ち会ってもらった方がいい?

Mさん: 立ち会ってもらった方が良いと思います。

師長: 色々な痛みの現場だけを見るというのは、ご主人も引くところがあると思いますが、頑張っている奥さんを励まし、その後元気な赤ちゃんが生まれるところに立ち会うと、一緒に出産したという思いがご主人にも出てくると思います。そうする事によって、育児の方も協力的になってくるのではないかと思いますので、是非立会いをなさってください。
Mさんのように、ご主人もそのうち引きずり込まれると思いますので。最後にひとつ、お産を振り返ってみて、フリースタイル、アクティブ・バースというのはどうでしたか?

Mさん: 良かったです。最近友達とも話しているのですが、「12時間痛い思いをして、もう産みたくないと思うんじゃない?」と言われたのですが、3人目の次は4人目になるのですが、周りが許してくれて、体力があったら、次は頑張って、あぁしてこうしてと思う自分がいて、ちょっと驚きというか、1人目の時は、もうしばらくはいいやって思ったんだけど、今は本当に許してくれたら、もう1回チャレンジしたいなと、そういう気持ちになれました。
カンガルーケアというのをしてもらったのですが、それにもすごく感動して、今育児している時に役立ってます。1人目の時は、1ヶ月経たない内からすごい夜泣きで、自分で産んだ子なのに、どうして泣くの~という感じだったけど、今回は抱っこしているだけで、子供が落ち着いているし、横になって添い寝という形だけで、落ち着いて全然泣きません。第三者の実家の父が驚いていたのですが、私が声をかけながら部屋に入ったら、ぴたっと泣き止んだんですよ。今回、父はこういう出産をしているのを知らなかったのですが、「この子は、母ちゃんの事がわかるんか?」というくらいびっくりしていて、それをきいて、あ~この子はまだ目もはっきり見えないのにわかっていてくれてるんだと思うと、今自分がすごく幸せを感じます。だからこちらで出産出来てすごく良かったと感じています。

師長: ありがとうございます。今日は、初産婦さんも多いんですけど、安産になるために、妊娠中にこういう風な事をしたら良いというのが、ありますか?または、こういう風な事をしてもらったのが良かったというのは?

Mさん: 私は、今回こちらでヨーガをさせてもらってすごく良かったので、時間があるようでしたら、ヨーガに参加して、こういう風に体験談をきいていた事も、出産の時に役立つんではないかと思います。自分は、あまり歩けなかったのですが、歩ける時間があれば、歩いて頑張ってもらったら良いと思います。

師長: Mさんは、自分の体験をもとに、お友達と2人で、伯方町でアンジュという育児サークルを立ち上げて活動されてるんですよね。伯方町の方もいらっしゃいましたら、そういう会にも参加して頂いたら、いい情報交換になるんじゃないかと思います。 

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