体験談

他院で逆子ならば帝王切開だと言われて転医

W.H. (初産婦)

師長: 今日お話して頂くのはW.Hさん、初産婦で逆子でした。逆子に対する考えというのは、病院によってさまざま違いがあるのですが、後で先生にお話して頂きながら、まずWさんの体験談をきいて頂きたいと思います。当院を選んだ理由、きっかけからお願いします。

Wさん: きっかけは、他の病院で逆子だったら帝王切開だと言われて、友達にきいたら、この病院だったら、逆子でも下から産めるんじゃない?と言われたので転院しました。

師長: 変わって来られたのは、何週でしたか?

Wさん: 34か35週くらいです。

師長: では9ヶ月の終わりくらいだったんですね。逆子になったのは、どのくらいだったんですか?

Wさん: 6ヶ月くらいからずっとでした。

師長: では、その頃には逆子だったら、こうします……とか出産に対する方針、また、こうすると逆子でも下から産めるかも……という話はあったのですか?

Wさん: いや、体操をしてと言われただけです。

師長: 体操というのはどういう体操?

Wさん: 逆子体操……、クルンってなるからって言われて。

師長: じゃぁ、もしクルンと直らなかったらどうしましょう……という話はあったんですが?

Wさん: 直らなかったら日にちを決めて帝王切開しましょうと言われました。

師長: そう言われた時、どう思いましたか?

Wさん: 嫌だと思いました。

師長: 嫌と思ったけど、病院がそう言うし、しょうがないのかなと思った?

Wさん: はい。下から産める病院はない……ってそこの先生に言われたのでしょうがないのかなぁって思いました。

師長: では、そういう時に友達がアドバイスしてくれたんですね。
ところで、今日来られている方で逆子の方はいらっしゃいますか?
……いないようですね。では、もし自分がWさんのように逆子で、逆子で産ませてくれる病院はない、先生に切るしかないと言われたら帝王切開しますか?ほとんどの方が手を上げてますが、上げていない方はどうしてですか?

ある産婦の母: 運動させます。

師長: 運動というのは、逆子を直すための運動ですか?産むための運動ですか?

ある産婦の母: 逆子でも20時間あまりかかっても下から産んだ子もいるから、ちゃんと運動すれば切らなくてもいいと思います。

師長: そうですね、今は全国的に、逆子だったら帝王切開する病院は多くなっているようですが、日頃からの体づくり、また病院の安産指導、下から産むための指導があるか無いかでも違ってくると思います。
Wさん、当院に来られて、まず先生から逆子で産むためにはという事で色々なお話を聞いたと思いますが、その話を聞いた時にまずどのように思いましたか?

Wさん: それまで行っていた病院では安静にしなさいって言われたのに、こちらでは運動しなさいって言われて、でも逆子でも産めると言ってくれたので運動しようと思いました。

師長: 安静にしなさいと言われたのは不思議ですが、どうしてですか?

Wさん: いやわからないです。おなかが張っているから安静という事で、薬も飲んでという事だったんですが……。自分ではよくわからなかったです。

師長: それではおなかが張ってこないための薬を飲んで、安静にして、帝王切開する日を決めて待ちましょう……と言う事だったんですね。
では、こちらで先生の話をきいて、運動を始めたと思いますが、具体的にどのような運動をしましたか?

Wさん: スクワットと歩くのと、ヨーガもしました。

師長: スクワットは何のためにしたと思いますか?

Wさん: 下から産めるように体を柔らかくするためだと思います。

院長: そうです!ところで、貴女はその薬を飲んだの?

Wさん: 飲みました。飲んで、ずっと横になっていました。

院長: 妊婦さんが歩くというのは、常識ですよね。どうして安静だったんでしょうかね。実に不思議ですね。

Wさん: わからないけど、毎回安静って言われたので。

師長: ではそれまで安静にしていて、当院で急に体を動かしなさいと言っても、しんどかったのではないですか?

Wさん: 暑かったので、多少はしんどかったですが、夕方とか歩いて、下から産みたかったので先生に言われた事は全てしました。

師長: 骨盤は妊娠するとホルモンの関係で緩んできますが、安静にしているとか、じっとしていると、やはり緩みようが違ってくると思います。逆子の場合は最後に一番大きな頭が出てくるのですから、骨盤を最大限に緩めておかないと下からは産むのは難しくなるという事です。安産指導は、普通のお産でももちろん必要ですが、逆子の場合はより早くから個人にあった指導が必要だと思います。
では、Wさんから、どんな経過でお産になったかお話して頂けますか?

Wさん: 夜中におなかが痛くなって、びっくりして目が覚めて、5時過ぎに病院に来て、お風呂に入りたかったのに、どんどん痛みがきてお風呂にも入れなくて、昼までかかるって言われていたんですが、早く産まれてびっくりしました。

師長: ものすごく安産で、9月21日の5時10分に陣痛が始まったという事で入院したのですが、痛みで目が覚めたのが4時前くらいだったそうですね。

Wさん: 痛みは治まるのかと思って様子をみていたんです。

師長: 入院した時、子宮口は5cm開いていました。当院ではまず破水していない限りはリラックスのためにお風呂に入って頂くんですが、Wさんの場合は入院時の陣痛は3~5分おきだったのですが、すぐに分娩室に入るくらい痛みは強くなったようです。それから1時間かからないうちに9㎝、その30分後には全開、産まれたのが7時47分、わずか来院してから2時間半でした。
Wさんは先生の言われた事は全て実行して、かつ体験入院、あらかじめ病院のお産方針を知っておくという事。それと、頭から生まれる場合より、逆子の出産の方が、処置が多かったり、赤ちゃんが生まれる時の体位にも工夫があったりするので、そのような事をひと通り説明しながら、ご主人と実践して頂きました。イメージは湧きましたか?

Wさん: 先に色々聞いていたので良かったです。器具を使うかも……って言われていたんですが、使わずに産めて良かったです。
主人も「すぐ生まれたし、切らんで良かった」って言っていました。

師長: 当院ではフリースタイルで出産していますが、逆子の場合は最終的には、もしかしたら分娩台にあがる事があるかもしれないよ、とお話していたんですが、最後まで、分娩台にあがる事なく、下のマットの上でお産になりました。陣痛のほとんどの時期は横向きで、赤ちゃんのお尻が出てから最後の一瞬だけ、先生の赤ちゃんを出すための操作が出来ないので上を向いて頂きました。
あの陣痛の時、同じ体位でずっと上を向いているというのはどうですか?

Wさん: いや……無理です。やっぱり横になりたい。

師長: 逆子の場合はゆっくり出てきた方が良いようで、極力お尻を押しながら、必要以上にいきませるのではなく、また重力を使いすぎると、急に赤ちゃんのお尻が下がってくる事もあるので、横向きのままゆっくり産まれました。
でも、自分の思った出産が出来て良かったですね。

Wさん: 病院を変わって良かったです。

師長: 結果的には運動して超安産で産まれましたが、以前通っていた先生の話はどう感じましたか?

Wさん: 下から産めるのに、何で切るんやろ……、運動もした方がいいやん……って思いました。

師長: やはり病院によって先生の考えは違いますが、下から産むための指導というのは、教えてもらわないとわからないですよね。

Wさん: わからないです。

師長: よく病院で「順調です」という言葉をききますが、順調イコール安産出来ますという事ではないので、順調と言われたら、その先の安産するためにはと言うところまできいて頂きたいと思います。
れから出産される人にアドバイスお願いします。

Wさん: ここは、安産指導をしてくれるので、それをするのと歩いた方が良いと思います。それと、院長の話が納得出来なければ医者を変えるべきだとつくづく思います。

師長: そうですね、特に初めてお産する方は参考にして頂きたいと思います。病院によってはあらかじめ、逆子の場合はこうします、前回帝王切開の場合はこうです、というようなお産の方針を掲げているところもあります。当院はホームページにも掲載していますが、Wさんが最初に行かれた病院では、そのような方針を知って行かれたんですか?

Wさん: いえ、調べていないです。パンフレットももらっていないし。

院長: 何をしているかわからなければ不安でしょう。

Wさん: 恐いです。逆子になると、いきなり切ると言われた時はビックリしました。

院長: どの時点で切ると言われたんですか?

Wさん: 9ヶ月くらいの時に、直らなかったらうちは切ってますからと言われて、エッて感じで。

師長: それでよその病院も切っていますと言われたら普通は諦めますよね。

Wさん: 切らんといかんのや……って思いました。

院長: でも多くの人はお医者さんに「赤ちゃんが危ないよ、切るよ」と言われれば、そのまま切られるんでしょ?
だから、Wさんは偉いですよって褒めたんです。

師長: 先程、手をあげて頂きましたが、やはり先生に言われた事に間違いない、そんな帝王切開の適応など知る術もなく信じてしまいます。でも病院によって、方針や治療方法が外科とかで違うのと同じで産婦人科も先生によって考え方の違いがあるので、納得がいかない時には、そこでお産をする・しないに関わらず、病院を変えて相談してみてください。一生に何度かのお産ですから、自分の納得の行く方法で心に残るようなお産をして頂きたいと思います。
もし、Wさんが転院するのをためらい予定で帝王切開していたら、今回のこんな安産は無かったし、また2人目、3人目も帝王切開しないといけなかったという事になります。でも今回、すごく安産で産まれたので、次もまず大丈夫。この差は大きいので、やはり1人目のお産は大切だという事ですね。
ところで、おっぱいはどうでしたか?

Wさん: よく吸ってくれるし、よく出ます。

師長: おっぱいの手入れはしていたんですか?

Wさん: 前の病院では、何も聞いていないし、おっぱいを見てもらった事も無いです。

師長: そうですか。おっぱいの状態も個人差があるので、妊娠中からの手入れが必要な人もいます。そういった指導の有る無しで育児のスタートも変わってきますね。
みなさんの周りでまだ妊娠していない方でも、日頃から情報を取り入れてまず自分の望むお産を考え、それをもとに病院を選んで頂くと、どんな結果であれ、満足出来るのではないかと思います。
また、それをみなさんがアドバイスしてあげてください。

←前のページに戻る