Ｋ.Ｍ.
師長： Ｋさんは、妊娠中からありとあらゆる事に、例えば、母親学級やマタニティー・ヨーガ、体験入院など、こちらが声をかけた事には全部参加されました。経過からお話させて頂きますと、19日朝8時、破水の疑いという事で入院されました。この時には、実際、破水はしていなくて、時々痛いかなというくらいでした。子宮の出口も指が1本入るかなあというくらいでしたね。
それで、安産コースやお灸など色々して頂いて、夜ぐらいから、徐々に痛みの方も強くなってきましたが、まだ我慢出来る程度でしたね。それで夜は休んで頂きました。
次の日の夜くらいから本格的な痛みになりましたが、まだ、破水していなかったので、お風呂に入って頂いたりしました。2～3分おきに陣痛もきていたので、ウトウトしか出来なかったようです。
寝る前の23時頃では、子宮口は1.5cm、指1本入るかどうかという感じで、夜中に2cm開大。それから4～5分おきの痛みが続いていたんですが、眠れないけどボーっとするくらいで、次痛いなあと感じだした時にはもう8～9cmまで広がっていました。で、逆子ちゃんなのであまり早くからいきむ事もしない方がいいし、出てくるのも時間がかかるだろというお話をしました。
7時に10cm全開、お尻の方も大分下がってきていて、あっこれで産まれるかなと思ったのですが、そこから約10時間かかりました。その間点滴もしたので、横向きというのが多かったのですが、朝くらいから、四つん這いになったり、少しずつ体位を変えたりしました。
分娩室では、ぎりぎりになるまで四つん這いでした。赤ちゃんの両足が出た時点で分娩台にあがってもらい、1回いきんで出ましたよね。なかなか初産婦さんで逆子というのは、難しいお産に入ると思うのですが、今回、本人がすごく頑張られて良い結果がでたのではないか思います。
妊娠中お産に関して妊娠中、先生からヨーガをしなさいというお話はあったと思いますが、実際どうしてヨーガや体験入院をしようと思われましたか？
Ｋさん： 初めはおなかが重くて、体を動かすのが億劫だったのですが、健診に通う度に先生からもヨーガを勧められ逆子だったので、下から産みたいと思い参加してみました。やってみると、思ったより結構しんどいんだけど体を動かした後、楽になるし、自分の体が柔らかくなるのがわかりました。
体験入院もしてみたのですが、実際体験入院無しで入院していたら、どういう体位をいつどんな時にとったらいいのかわからなくて、看護師さんに指示されるままになっていたと思いますが、色々な体位を試していたので、出来ない体位は出来ませんと言えてなるべく自分の楽な体位にさせてもらえたので良かったと思います。
師長： ちなみにどんな体位が楽で、どの体位がしんどかったですか？
Ｋさん： 陣痛が弱い時は側臥位。陣痛が強くなってからは四つん這いが楽でした。
師長： Ｋさんは、こちらが○○しましょうか……と言っても、ご自分がしんどい・つらいという時は、はっきり「イヤ」と言われていました。これは良い事なんですよ。
時期が変わってくると痛む場所も変わってくるし、いきみ方も変わってくると思うので、その時はつらくても、またその後は具合が良い体位というのがあります。四つん這いがそうでしたね。
体験入院もして頂いていたので、ご主人にもマッサージの仕方とか分娩時の体位の介助の仕方とか体験して頂いていました。逆子の場合、頭からではなくお尻から出てくるから、最終的には先生に赤ちゃんを回しながら出してもらうのですが、それもあらかじめ言っておかないとびっくりされるといけないので、その点も説明させて頂きました。
へその緒も2回巻いていたのでご主人さんにへその緒を切って頂く事が出来なかったのですが、2,300gですごく元気な赤ちゃんで良かったです。お風呂も再々入って頂きましたが、どうでしたか？
Ｋさん： 気持ち良かったです。気分的には楽になったんですが、陣痛は痛かったです。
師長： ちょっとのぼせましたね……。お産が終わった時に、おききしたのですが、Kさんのお友達も何人か逆子でお産した方がいるらしくて、その人たちは帝王切開だったんですね。
Ｋさん： その話を聞いていたので、自分は下から産みたいと思っていました。
師長： 何回かもう切って欲しいという言葉も出かけていたらしいのですが、ずっとヨーガをしていたので絶対に言うまいと思っていた、と言われましたね。
Ｋさん： 我慢したんです。
師長： よく我慢しましたね。でも結果的には、傷の方もそんなに深くなくて今座っても大丈夫ですよね。会陰切開したと思いますが、切開した時はわかりましたか？
Ｋさん： 痛みはなかったのですが、音がきこえて、逆に生々しくて怖かったです。
師長： 麻酔もチカチカとするのがわかりましたか？痛かったですか？
Ｋさん： その時はちょっと痛かったです。その後はしびれたような感じでした。
師長： 初産婦には、会陰切開がすごく怖いというイメージがあるようですが、どうでしたか？
Ｋさん： 入院した時点でもうどうにでもしてくれ、と言う感じでした。
師長： とりあえず、早く産みたいという気持ちですかね。この中にも逆子の方もいらっしゃいますが、みなさんから何かききたい事ありませんか？
妊婦Ａ： ヨーガ以外で何かした事はありますか？
Ｋさん： 外を歩くのが好きだから3時間くらい歩いていました。しゃがみ込みは150回くらい、必死でやって、それでも足らないかと思いお風呂につかる前に風呂イスで開脚とかしていました。
師長： 努力していたのですね。また、参考にしてください。
妊婦Ｂ： どんな時にしゃがみ込みをしていたのですか？
Ｋさん： 一気にやろうと思ったら結構しんどいし、時間とかもとれないので家事の合間に少しずつしていました。
師長： 洗濯物を干すにも、しゃがみ込んで洗濯物をパンパンと叩いて干す。また、しゃがみ込んでパンパンパン………。そういう風にやっていた方もいましたよ。
妊婦Ｃ： おしるしで入院しているのですが、陣痛がこないので心配です。大丈夫でしょうか？
師長： 今日、ここにいらっしゃらないのですが、この間お産された方で微弱陣痛から2～3週間くらいですかね、ずっと続いていて、実際強い陣痛がきたら数時間で産まれました。だから時期がくれば産まれます。赤ちゃんが元気なんだから、のんびりと、あせる必要ないですよ。先生から何かあれば。
院長： 申し上げたい事は沢山あります。Ｋさんはうまく産まれましたが、偶然産まれたのでなく、それなりの方針で、経膣分娩出来たわけで、それが第一点です。
そして、このように妊娠中から安産のために指導していく、体が柔らかいですよ、硬いですよ、歩きましたか？ヨーガをしなさい、これが自然出産のまず第一段階です。妊娠中の過ごし方が大事な事です
Ｋさんもそれをされ、体が柔らかくなった。自分でわかるのが開脚ですね。入院してからもちょうど30数時間ですか……。30数時間ですよ。その間ずっと眠っている時間は別として、目が覚めると色々援助をし、自然のリズムに合う事を色々してもらったわけですね。最後の最後は分娩台にあがりましたが、それまでは、四つん這いとか色々なフリースタイルをやっていましたね。
切開は今回の場合、ちょっと前もって入れますので局所麻酔をしました。痛かったですか？針を刺す時痛かったですか。普通はほとんどわぁ～っと広がってパッと切開を入れますから、痛くないはずです。
まあ、そういう形で出産となりましたが、これが自然出産です。Ｋさんはもともと自然出産を希望され、実行されて結果的に自然分娩が出来たという事ですね。よく頑張りました。おめでとう。
師長： 以前にも1人目が逆子、2人目も逆子で下から産まれた方にお話して頂き、待合室にファイルしていますので、また、時間がある時に目を通してみてください。Ｋさんが今回他の病院でのお産だったら、まず予定帝王切開でしょう。では2人目をどうするかと言うと、2人目も帝王切開、つまり2回おなかを切らないといけない事になります。ですから、初回の逆子分娩の時に、次のお産はどうするのかも十分検討してください。
Ｋさん： 私もみなさんの色々な話をきいて不安とかあったのですが、自分が産んでみるとそんなに難しい事ではなく、自然に任せてみてください。
追加 Ｋさんは2回目も逆子で、分娩室のマットの上で自然分娩しました。
