体験談

1人目は逆子、2人目は鉗子分娩でした。

A.J.

Aさん: Aと言います。7年前に1人女の子をここで逆子出産しました。逆子体操をしていたのですが結局直らなくて、でもそのまま逆子の自然分娩で産む事が出来ました。それがすごく良かったので、2人目もここでと思ってきました。
2人目は逆子にはならなかったんですが、なかなか産まれなくて、40週がきても産まれなくて、41週までおなかの中にいて、今回も自然分娩(鉗子分娩)で産む事が出来ました。すごく良かったと思っています。

師長: まず1人目のお産ですが、みなさん、逆子と言うとどんなイメージがありますか?先日、健診に来られていた方が逆子で、じゃあもう帝王切開ですか?と質問が出ていましたが、逆子の場合、帝王切開する病院が実際多くなっています。でも、安産体操などをして、自然のリズムに合わせれば、Aさんのように、ちゃんと下から産めるんです。その事をみなさんにわかって頂きたいと思い、Aさんにお話をお願いしました。
1人目の時は、マタニティー・ヨーガもしていたとは思いますが、先生の方からも安産のための指導はあったと思います。特に逆子だから、これをしなさい……とかいうのもあったかとは思いますが、具体的にはどうでしたか?

Aさん: 逆子体操をして、後は安産コースと家でしゃがみ込むような運動をしていました。

師長: 先生から言われて意識してこういうふうな事だけは毎日していたというのはありますか?

Aさん: 結構、まんべんなく色んな事をしていました。開脚とかしゃがみ込みとか。とにかく安産運動を毎日していました

師長: ご自分のペースで毎日ヨーガとかもしていたようで、それらが良かったと思います。1人目は38週で2,990g、だから特別に小さいわけでもなく標準の大きさで生まれています。
先程も言ったように、もし1人目、逆子だからという理由で予定日で帝王切開した場合、今回のこの子も帝王切開しないといけなくなります。1人目が帝王切開の場合、多くは2人目も帝王切開ですからね。また、自然出産を試みても途中で分娩が停止して帝王切開、という場合が多くなります。そのような理由で1人目のお産というのが大事なのではないかと思います。
今回予定日を過ぎてもなかなか陣痛がこなかったんですが、よく予定日近くになると、また予定日を過ぎると周囲の方またご自身も不安が募ってくると思いますがどうでしたか?

Aさん: やはり周りから、会う人会う人「まだなん?」って言われて、自分も、前回38週で早かった分、今回も早いかな……と思っていたので、だんだんおなかは大きくなっていくし、普通に産めるんかな、今度は帝王切開しないといけないかなあ……とか思って不安になっていました。

師長: そうですか。当院では41週くらいになると一度様子観察という事で入院して頂くんですが、Aさんも一度入院したんですよね。

Aさん: はい。そして変わりないという事で退院したら次の日に陣痛がきました。

師長: 1人目は逆子だったんですが、痛みがきはじめて本当にスムーズなお産で、確か5~6時間くらいで産まれたんですよね。
一生懸命しゃがみ込みとかして、出口が柔らかくなっていたためだと思いますが、今回はそれを考えたら少ししんどかったですね。

Aさん: はい、しんどかったです。

師長: どんな点がつらかったですか?

Aさん: 自分の頭の中で2人目は早く産まれるとか……そういうのがあって楽なお産というのは無いけど、順調っていうか前よりは短い時間で産まれると思っていたのが、なかなか赤ちゃんが出てこないし、痛みは和らげるためにお風呂に入ったりして紛れたけど、しんどかったですね。

師長: 経過をお話しますと、今回は明け方の4時くらいに痛みがきて、一旦退院していたのを引き返して入院されたんですが、帰られた時は陣痛が3~4分おきできていたんですね。まだ痛み自体は弱く、余裕がありましたよね。子宮の出口は2~3㎝くらい開いていたようです。
まず当院ではリラックスして頂くためにお風呂に入って頂いています。経産婦さんの場合、お風呂に入ると結構痛みが強くなってお産が進む方が多いのですが、Aさんの場合はこの時はあまり強くならなかったんですよね。それで廊下を歩いたりしていたんですが、それから3時間後の7時にやっと4~5㎝、この時も歩いたりして頂き、8時頃からは陣痛が3分おきになり痛みも少し強くなったようです。それでこの時にもう一度お風呂に入って頂いたのですが、これはどうでしたか?

Aさん: お風呂に入ったら、体勢で、痛みがある時もあったんですが、でもお風呂に入る事で痛みが和らいだ気がします。

師長: お風呂に入る事で、体が温まって、筋肉や靭帯などが柔らかくなるのか、痛みが紛れる方が多いようです。また、もともと腰痛があるような方は浮力で腰痛が紛れますので、是非お風呂には入って頂いたら良いと思います。
それからすぐ声がでるくらい痛みが強くなり、子宮口も9㎝開大しました。おそらく、前回より時間がかかった1つの理由として、この赤ちゃんが3,300gちょっとあって、上の子供さんに比べて400g近く大きかったので、ゆっくり進んでいったのだと思います。場合によって、陣痛が弱い時、陣痛促進剤を使う施設もありますが、この中で使った事のある人いますか?どうでしたか?

経産婦A: 点滴をするので動けないし、痛くても擦ってもらう事も出来ないし、私にはつらかったです。

師長: そうですよね。狭いところを大きな赤ちゃんが通るわけだから、陣痛促進で強い陣痛で急激に進むとお母さんはすごくしんどいんです。だから、前回より少し時間はかかったかもしれないけど、ゆっくり赤ちゃんが降りてくれたので、赤ちゃんの方にもあまりストレスがかからなかったのでは……と思います。だから、微弱陣痛は微弱陣痛なりの理由があるんです。赤ちゃんがそれを必要とするからそうなるのだと思います。
またもう1つの理由として、へその緒が巻いていたのもあると思います。ほぼ全開になってから、陣痛の度に赤ちゃんの心音が少し下がり始めました。へその緒が巻いているというのは、妊娠中からわかっていましたので、こちらも陣痛にあわせての赤ちゃんの心音には注意していました。これに関しても、最近ではへその緒が巻いていると帝王切開をするという病院もあるとききますが、おそらくAさんのように、予定日も過ぎ、へその緒も巻いていると言う事であれば、1人目無事に下から産めたとしても、2人目はおなかを切っていたかも知れない……という事になります。

でも、自然出産では、自然のリズムに合わせて赤ちゃんからのSOSが出ない限りは様子を見ていくという方針でやっています。今回の場合、赤ちゃんからのSOSが無かったので、自然の経過を見ていたんです。でも最終的にもう赤ちゃんが産まれそうという時にSOSが出たので、分娩室の低いマットの上で鉗子分娩になりました。

2人のお産を経験されて、振り返ってみて、これからお産する人に妊娠中はどんな事をしたらいいか?またスムーズなお産になるにはどんな事に心がけたらいいか、アドバイスをお願いします。

Aさん: 妊娠中にはこちらでしているような安産コース、体を柔らかくするような体操、ヨーガをやっていたら良いと思います。
1人目の時は時間もあってヨーガも結構していて、今回は先生からスクワットをしてください、と言う事でこれとこれはやろう……と絞ってやりました。1人目の時の方が開脚など色んな事を時間を見つけてしていました。そんな事もあって、結構楽に産めたのかなと思うし、歩くもの今回もう少し時間をかけて歩いていたら、もう少し早かったのかもしれないと後から思います。ただ買い物で……というのでなく、時間を決めてドンドン歩くというのも週数を遅らせない1つの方法だと思います。スクワットもしんどいけど、やっていた方が脚の付け根が柔らかくなって、自分の体力もついてお産の時に役立つと思います。意識して体を動かすという事ですね。お産の時は、呼吸は痛いから意識がいかないんだけど、はーっておなかから息を吐くのも良かった、あれも痛みが和らぐ感じがしました。

師長: そうですね……。お産の時に痛みでパニックになる方がたまにいますが、その予防策として、マタニティー・ヨーガをする時に自分の呼吸に意識を集中すると良いと思います。また息を吐く事で痛みも和らぎます。
今回、分娩台にあがる事はなかったのですが、フリースタイルはどうでしたか?

Aさん: 良かったです。今回主人も後ろから抱きかかえて体を支えてくれたんですが、それで持ちたいところが持てるし、こうしないといけないという事がないので、主人は手が痛かったと言いますが、それでも一緒にお産が出来て良かったと思います。今回、初めてカンガルーケアーもしたんですが、これも良かったです。すごく安心するというか、産まれた後で肌を感じるというか、すごく自分も安心しました。上の子はすぐに服を着せて連れて来てくれて抱っこはしたけど、今回は産まれたてのところをじっくり抱っこ出来たのですごく嬉しかったです。

師長: 産まれてすぐ赤ちゃんを抱き、顔を見て、可愛いって思うのが育児の第一歩だと言われます。自然出産はこういう機会を与えてくれるものですから、みなさんだけでなく、家族の方にも立ち会って頂いて一緒に命の誕生に感動して頂きたいと思います。

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